法令遵守強化の傾向
ここ最近、酒気帯び運転に関する報道が目立っています。酒気帯び運転による忌まわしい事故が相次ぎ、刑罰強化の動きもあるようです。酒気帯び運転といえば、先に東京都と福岡市がオリンピック開催地をめぐり競っていましたが、得票差が11票出た背景に、福岡市職員の起こした事件が少なからず影響していたであろう、ということをある関係者から聞いたことが印象として残っています。2006年9月22日付けの中日新聞でも「朝日新聞社は21日、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで甲府署に摘発された記者を同日付で懲戒解雇したと発表した」と報じられています。企業も世の中の流れから厳しい対応を迫られている一例といえるでしょう。
折りしも本年6月に日本版SOX法が成立しました。上場企業と連結子会社については、2009年3月期の決算から内部統制報告書の提出と公認会計士による確認が義務付けられます。いままで日本での内部統制といえば、財務会計の視点でしかありませんでした。日本版SOX法では、これ以外にも経営全体の方針や業務ルールの遵守、リスクに対する検討や備えはどうか、なども要求されています。上場企業が求められるということは、必然的にその下請け企業にも求められる要求項目だということを忘れてはなりません。取引条件として提示されたとき、あわてふためいて決めるのではなく、法令遵守の強化へ傾向している世の中の動きを見据え、先を見越して整備しておく必要があるでしょう。
一人の従業員が犯した罪で会社の信用が失墜することは十分あり得ることです。観念として理解できていても、自分自身におとし込んで考えることのできない従業員がいるかもしれません。企業内での罰則強化を行う場合であればなおのこと、いまは従業員の理解が得られやすい時期ともいえるでしょう。せっかくのチャンスです。永続可能な企業にしていくための基礎を整えてみてはいかがでしょうか。
(佐藤澄男)
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