将来の経営幹部として期待される能力は「ビジョン構築力」「経営に対する使命感」
先日、社会経済生産性本部より、「将来の経営幹部育成に向けた選抜人材教育に関する調査」結果という資料が発表されました。幹部育成に向けた選抜人材教育の現状と課題を明らかにする調査ですが、これによれば選抜人材教育を「実施している」もしくは「実施の方向で検討している」企業は76.7%となっており、3年連続して75%以上の数字となっています。なおこれを上場・非上場で分けてみると、上場企業では68.6%、非上場企業では41.3%の企業が選抜人材教育を実施しているという結果が出ており、多くの企業でこうした取り組みが定着してきていることが分かります。
さて、今日取り上げたいのは、この調査の中で行われた「将来の経営幹部として期待される能力・資質」という調査項目です。上位3つを選択するという方式で行われた結果は以下のとおりとなっています。
□ビジョンを構想する力があること 60.5%
□経営に対する使命感、責任感があること 59.7%
□あるべき姿に向けて現状を変えていく力 36.0%
□状況・情勢を見極めて判断する力 30.8%
□組織、社会に対して誠実であること 20.6%
□目標に向かって実践する行動力 19.0%
□社員と対話できるコミュニケーション力 17.0%
□自分の言葉を持ち、それを伝える力 16.2%
□現場感覚を持つこと 11.5%
□多様な価値観を理解し、受け入れる力 8.3%
□経営資源を有効に活用・配分できる力 8.3%
□顧客や従業員を引き付けるカリスマ性 5.5%
□社内外のネットワーク 3.2%
このように「ビジョンを構想する力があること」と「経営に対する使命感、責任感があること」の2つが突出しています。若干気になったのは、「社員と対話できるコミュニケーション力」や「多様な価値観を理解し、受け入れる力」というコミュニケーション力や対人感受性に関する回答が少なかったこと。上位3つの回答ですから、どうしても他の項目に回答が集中してしまったのかも知れませんが、メンタルヘルス不全の問題など、社内でのコミュニケーションの重要性が高まっていますので、経営幹部のみなさんにはこうした点への関心を強く持って頂きたいと願っています。
参考リンク
社会経済生産性本部「将来の幹部育成に向けた選抜人材教育に関する調査」調査結果
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20061102-1.html
(大津章敬)
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