キャリア発達

 本日はキャリア連載の第5回として、キャリア発達というテーマを取り上げることとしましょう。そもそもキャリア発達という考え方は発達心理学から生まれてきたものです。スーパー(Super, D. E)のキャリアステージ理論によると、キャリア発達は「成長、探索、確立、維持、衰退」の5段階に分かれます。これらの段階に応じて、意思決定の仕方や社内の見方が変わっていくなど、心理的側面に変化が現われ、自己概念が形成、発展していきます。 


 ここで少し、自分が初めて会社に就職したときを思い出してみましょう。会社に入って日が浅い頃は目の前のことで精一杯になっており、日が経つにつれ今日、明日あるいは今週という単位で何をするのかが分かってきます。そして、数年が経ち仕事に慣れてくると1ヶ月、3ヶ月位の範囲で物事を考えられるようになり、中堅ともなれば半年、1年先のことも考えるようになってきます。また、昨年や数年前のことになぞらえて振り返り、経験を束ねながら将来を見通しているでしょう。役職に就いたり、部下を持つようになったりすると、自分のことだけでなく所属部署や部下のことも考えるようになり、見える範囲、見なければならない範囲が広範に渡ってきます。キャリアの発達段階にあわせて見通すことのできる未来の時間軸は大きくなり、自己の成長や人生、所属部署や部下の将来を考えるなど、その対象範囲も拡がっていくでしょう。


 会社はキャリア発達に対応した社員の成長を望んでいます。キャリアの発達段階には、身体の成長と同じように個人差がありますが、会社はどのように社員の成長を支援していくことが求められているのでしょうか。まず、社員がキャリア発達のどのステージにいるのか、位置を確認することがはじめのステップになるでしょう。そして、各段階においてどのような支援ができるのかを検討して、社内の教育制度を整備していくことで、より効果的な支援が可能になってきます。既に行われている教育制度を当てはめるのではなく、ゼロベースにしてどのような研修や教育が社員の成長を促すことができるのかを見直してみてはいかがでしょうか。
 
 それでは次回は「キャリアプランニング」を紹介していきたいと思います。お楽しみに。


(福間みゆき)


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