人材不足対策で大企業が退職者の再雇用策を相次いで発表
大都市圏を中心に人材不足が深刻な問題となりつつありますが、これは中小企業に限った問題ではなく、大企業でも同じ状況のようです。こうした状況を受け、一旦退職したOB/OGを再雇用する制度を設ける企業が相次いで出てきています。今日はそんな中から、村田製作所と三菱鉛筆の事例を見てみることにしましょう。
[事例1]村田製作所
村田製作所では2007年10月1日より、「ウェルカムバック制度」という退職者の再雇用制度を開始しました。この制度の対象は自己都合により退職したすべての元正社員。職級・賃金などの労働条件は、退職時の処遇と再入社時の基準を加味して決定するそうです。
[事例2]三菱鉛筆
三菱鉛筆では2007年11月1日より、「ジョブ・リターン制度」という再雇用制度を開始します。こちらは村田製作所の事例と異なり、出産・育児・介護などライフステージ上のやむを得ない事情により退職した社員が職場に復帰したいと希望した場合の再雇用制度で、対象は出産・育児・介護等の事由で退職した、入社後3年以上の正社員で、かつ退職から原則5年以内であること。復帰後の職務・部署は、当人の希望を確認した上で、会社との個別相談により決まるそうです。
中小企業の場合は、いったん退職した社員が戻ってくるということは日常的に見られますが、大企業ではこれまでほとんど見られませんでした。中には中途退職者が裏切者的な扱いを受け、絶対に復帰できない企業もあるという話を聞くこともありますが、深刻な人材不足の中、自社の仕事を理解した元社員を積極的に再雇用しようとする企業は増加していくことでしょう。大企業がこうした再雇用制度や中途採用を拡大することで、中小企業は更なる人材不足に追い込まれるのではないかと懸念しています。
参考リンク
村田製作所「村田製作所『ウェルカムパック制度』開始のお知らせ」
http://www.murata.co.jp/news/2007/071001_2.pdf
三菱鉛筆「三菱鉛筆、『ジョブ・リターン制度』導入」
http://www.mpuni.co.jp/newsrelease/2007/1191234612.html
(大津章敬)
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