厚労省資料に見るパートタイマーへの社会保険適用拡大の検討状況

パートタイマーへの社会保険適用拡大 社会保険のパートタイマーへの拡大が大きな話題となっていますが、一昨日、厚生労働省においてそのテーマを議論する「第12回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」が開催され、そこでの資料が公開されました。

 この資料の中では以下の3つの論点を中心に、様々な意見が交わされています。
適用拡大の論点(1)厚生年金・健康保険の対象となる者の範囲
○週の労働時間
○賃金水準
○雇用期間・雇用見込み期間
○学生の取扱い
○年金の受給資格を満たしている60歳以上の者の取扱い
○第3号被保険者の取扱
適用拡大の論点(2)短時間労働者に与える影響や雇用への影響
○短時間労働者が、保険料の負担増を避けるため、新たな基準以下の就業(労働時間の
短縮等)に移行する可能性
○企業が、事業主負担を抑えるため、雇用自体を抑制したり、短時間労働者に新たな基
準以下の就業(労働時間の短縮等)を求めたりする可能性
○短時間労働者の処遇面(給与等)に与える影響
適用拡大の論点(3)短時間労働者が多く就業する企業への影響
○「企業規模」による取扱いの差異
○「業種」による取扱いの差異
○企業の事業主負担の激変緩和策の必要性
○社会保険の適用事務負担
○医療保険者の財政悪化
○負担の大きい業種や企業に対する雇用政策、産業政策

 このようにかなり細かい点まで議論がなされていますが、今回の資料を見る限りではまだ意見の集約には至っていないという印象を強く受けます。そんな中でも、資料には適用拡大の対象となる短時間労働者の範囲について以下の記載が見られ、基本的な方向性が示されています。
労働時間について
 労働時間 については、あまりに短時間の労働者まで対象にするのではなく、雇用保険と同様に、週所定労働時間が20時間以上の者を対象とすることが考えられるのではないか。
勤務期間について
 勤務期間 については、短時間労働者は出入りが多く、事業主から事務負担への懸念が示されていることや、厚生年金と国民年金、健康保険と国民健康保険に出入りを繰り返すことになれば本人の手間もかかる(届出漏れ等のおそれもある)点が雇用保険と異なること等を考慮すれば、例えば6か月以上の勤務期間がある者を対象とするようなことが必要ではないか。なお、勤務期間を適用条件として定める場合でも、過去にその期間働いてきた者だけでなく、契約段階で、今後その期間働くことが見込まれる者も対象とする必要があるのではないか。

 企業と従業員の双方に大きな影響がある内容だけに、当ブログではこのテーマについて継続的に取り上げていくこととします。


関連blog記事
2012年2月14日「平成24年3月分からの健康保険・厚生年金保険保険料額表 ダウンロード開始!」
https://roumu.com
/archives/51910976.html

参考リンク
厚生労働省「第12回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000022k66.html

(大津章敬)

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