中国人事管理の先を読む!第36回「日本のリーダーを憂慮する」

リーダー 2011年3月の東日本大震災の復興が遅々として進んでいないのは、みなさんもご存知のことかと思います。1995年の阪神淡路大震災を経験した身として「瓦礫処理をどう行うか」という問題は、昨年の震災当初からわかっていたことです。ただ、今回の震災では、神戸の地震で経験しなかった甚大な津波の被害が加わったため、瓦礫処理はなおいっそう深刻なものかと思います。

 各自治体で瓦礫の引き受けを検討しても住民の強烈な反発があり、自治体としてもそれに迎合する形になってしまっていて、国や多くの地方もリーダーシップが発揮されていません。住民公聴会なんかには反対住民しか来るはずがないのに、自治体もそこのところがわかっていません。多くの首長も次回の選挙が気になるものだから、すっかり腰が引けてしまっています。「俺の責任で瓦礫は受け入れる。反対するのなら次の選挙で落としてくれ」くらい言える首長はいないものかと嘆かわしく思ってしまいます。

 瓦礫の受け入れに関しては、政府が政令を出して地方で強制的に分担受け入れを行うよう命令すればいいのです。そもそも、放射能に汚染されていないとわかっている瓦礫なのですから。自治体が「瓦礫を焼却する設備がない」と言っているのであれば、政府予算で焼却設備くらい作ってあげればいいじゃないですか。モタモタしていると言うか、政府も地方も何を恐れているのかわかりませんが、お互いリーダーシップが執れていないのが現状だと思います。

 中国の政治を過剰に賛美するつもりもありませんが、日本と中国とは政治的なシステムがまったく異なっていて、中国の場合、国のリーダーは地方の、それこそ鎮レベルの人民政府からの叩き上げです。地方行政を経験しながら、次第に担当する行政単位が大きくなり、最終的には国家レベルの行政に携わるプロセスがあります。その間には様々な権力闘争等があることも否定できませんが、一応、行政実務を経験し、力をつけながら中央に登りつめていきます。

 ところが、日本の行政にはこのしくみがありません。リーダーシップや行政実務を経験していない人物が国の行政を担うことだってあるわけです。そもそも、国務大臣の半数を国会議員から選ぶという日本国憲法の規定自体、小生は奇異なことだと思っています。国会議員は行政のプロでも専門家でもありません。ましてやどれだけの組織を束ねてきたのか、そもそもその経験も持ち合わせていない人物が非常に多い。その国務大臣が昨今の状況のようにころころ変わってしまっていては、いつまで経っても国政が安定するはずもないのです。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)

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