中国人事管理の先を読む!第50回「フレックス制度」
当社では2006年からフレックス制度を導入しています。当時はまだ現在のように地下鉄も十分整備されてなく、社員の大半が路線バスで通勤していましたので、道路事情の悪い上海では時間どおりに出社するということが客観的にも困難な状況でした。「途中でバスが壊れました」「いつまで待ってもエレベータが来ません」という、ホントかウソかわからないような社員からの連絡を受けるのが私の毎朝の日課になっていました。こうなると本人はもちろん、管理するこちらにとっても朝から気分が悪いもので、それだけでストレスとなっていました。これでは精神衛生上よろしくないと思い、フレックス制度の導入に踏み切ったわけです。
当社のフレックスは9時から18時までを標準時間とし、前後に1時間ずつずらせるようにしています。つまり8時に出社すれば17時に退社、10時に出社すれば19時まで業務という枠組みです。その代わり、誰かひとりでも遅刻した場合には、連帯責任としてフレックス制度を即刻廃止するというトレードオフ付きです。この制度の導入により、遅刻はゼロになり、自分のライフスタイルに合わせて出退勤の時間を決められるようになったと、社員からも歓迎されました。
このように、こと中国においては、フレックス制度は非常に効果の高い人事管理になる要素を持っていると思います。もちろん全員をフレックスにしてしまうと、お客様や本社との業務連絡に支障をきたしてしまいますので、誰かが交代で定時勤務をする、合同のミーティングがある場合はその時間に合わせて勤務するといったことは当然必要になってきますが。
フレックス制度についてこのようなことを感じていたところ、中国の新聞で、「成都にあるIT企業のフレックス制度」という紹介記事が載っているのを目にしました。そこには私が前述した以外に、「子供を学校に連れていけるようになった」という効果や、「勤務時間に緩急がつけやすく、残業が苦にならない」といった社員からの意見も書かれていました。
日本の通勤ラッシュもすごいですが、中国の出勤風景となるとあたかも臨戦状態のようになるため、ひょっとしたらフレックス制度は中国の通勤事情にこそ合っているのかもしれません。管理ルールと運用ルールさえきちんと作れば簡単に実施できるフレックス制度。貴社でも一度、実施のための検討を行ってみてはいかがでしょう。
参考リンク
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(清原学)
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