中国人事管理の先を読む!第51回「内需政策と適正な GDP規模」
2012年12月16日、習近平共産党総書記と指導部は、景気のてこ入れを目的とした「積極財政と穏健な金融政策を続ける」との発表を行いました。加えて世界経済は深刻な調整期に入っており、従来のような輸出拡大は容易ではないとコメントで指摘しました。この方針が意図するところは「内需の拡大」にあります。
中国のGDPはすでに世界第2位の規模となっていますが、GDPに占める内需(国内消費)の割合は37%。1位の米国は約70%、3位の日本でもGDPの60%が個人消費です。それと比較しても中国の消費は伸びていません。一方でGDPに占める投資(住宅、設備、政府投資)の比率は5割以上を占めており、これらのことを考慮しても、そもそも中国のGDPは実体経済の潜在的な能力からみて妥当なのかという疑問が生じます。経済がバランスよく成長していくことを考えると、案外中国のGDPは今の規模の60%程度が適正な大きさなのかもしれません。
いずれにせよ中国が直面する最大の課題のひとつは、内需をどうやって大きくしていくかということです。当然そこにはGDPの構成自体を改革するということが存在するわけですが、さらにやっかいな条件として中国の所得格差の問題が加わります。先般の公式発表では、中国のジニ係数は0.61でした。経済学ではこのジニ係数とローレンツ曲線というものを使って国民の所得バランスを見ていきますが、この0.61という数値はとんでもなく不公平社会に陥っていることを如実に表しています。
内需拡大には、真っ先に「減税」という政策があります。過去に中国は所得減税の実施や農業税のように税制そのものの廃止を試みてきましたが、税制改革が消費拡大につながっていません。もはや減税だけでは個人消費の拡大は見込めません。その原因には税徴収自体のインフラ問題、富裕層と政府との癒着、富裕層の預金の海外流出など根本的な問題があるため、税率を軽減しても効果はあまり期待できないのです。
それでは、需要を上げていくためにはどのような手段が残されているのでしょうか。CP(I消費者物価)は段階的に下がり、今の時点では2%を切っているようです。過去7%を超えていたときから見れば物価は非常に安定しているようです。残されているのは所得改革です。賃金を直接上げていきながら、可処分所得を増やしていく手段しか残されていないのです。
参考リンク
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(清原学)
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