実務上注意が必要な住宅手当を借上社宅にした場合の社会保険料取扱い

住宅手当 社会保険(健康保険・厚生年金保険)において、各種手当や現物で支給したものが報酬に該当するか、賞与に該当するかということはよく問題になります。日本年金機構でも各年金事務所で判断に迷うものについては、疑義照会として日本年金機構本部へ問い合わせが行われています。今日はその中でも住宅手当を借上社宅に切り替えた場合の取扱いについて、報酬・賞与に該当するのか確認しておきましょう。

 住宅手当は、従業員の住居に対する補助として、就業規則(賃金規程)に定め、支給する制度として広く知られています。これに対し、住宅に関する契約を法人で行い、借上社宅と従業員に利用されることもあります。この際には、法人が支払う社宅費用の一部を家賃として給与から控除する仕組みを行う企業もあるかと思います。その上で住宅手当を支給する方法から借上社宅に切り替える場合には、法人が社宅費用として支払う金額と、社宅費用の差額が住宅手当の額と同様になるようにするケースが見受けられます。

 住宅手当は当然、社会保険の報酬に該当しますが、借上社宅に切り替えた場合の取扱いについては、疑義が生じるところであり、日本年金機構厚生年金保険部適用企画指導グループの回答(疑義照会(回答)票、受付番号:2010-558「報酬および賞与の範囲について」)では、以下のように記載されています。
敷金礼金について
 社宅として法人が賃貸借契約をし、全額法人が負担しているのであれば、報酬(賞与)とはならないと解する。これに対して、従業員が個人で賃貸借契約する住宅の敷金・礼金等の経費を法人が負担した場合には、2010-258の回答と同様に報酬として取扱うことになる。
家賃の50%を法人が負担し、残り50%を個人から給与天引きで徴収し、毎月の家賃を全額法人から家主へ振り込みをする場合の法人負担分の50%について
 本来本人が負担すべき家賃を法人が支払っている場合は、従業員にとって経常的実態的収入の意義を有するものと解され、その支給形態を問わず報酬に含めることになる。(住宅手当と同様と解される)

 日本年金機構からこのような疑義照会が出されているため、対応には十分留意しましょう。

(宮武貴美)
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