労政審 継続的に派遣労働者受入を可能とする報告書案を提示
労働者派遣制度の大幅な見直しが議論されていますが、先週金曜日に厚生労働省において第203回労働力需給制度部会が行われ、その中で「労働者派遣制度の改正について(報告書(案))」が示されました。そのポイントは以下のとおりとなっています。
登録型派遣・製造業務派遣について
雇用安定措置等を講じることを前提に禁止しない。
特定労働者派遣事業について
特定と一般の区分を撤廃し、すべての労働者派遣事業を許可制とする。その際、経過措置等を設ける。
専門26業務について
26業務の区分は廃止し、派遣労働者個人単位と派遣先単位の期間制限を軸とする制度に見直す。
個人単位の期間制限について
派遣先は、同一の組織単位において3年を超えて継続して同一の派遣労働者を受け入れてはならないという制度に見直す。なお、この3年の上限を超えて受け入れた場合には、労働契約申込みみなし制度の対象とする。
派遣先における期間制限について
派遣先は、同一の事業所において3年を超えて継続して派遣労働者を受け入れることはできない。しかし、当該事業所におけるは過半数労働組合もしくは過半数代表者の意見を聴取した場合には3年単位で延長することができる。
の例外について
については、以下の者については措置の対象から除外する。
(1)無期雇用の派遣労働者
(2)60歳以上の高齢者
(3)現行制度において期間制限の対象から除外されている日数限定業務、有期プロジェクト業務、育児休業の代替要員等の業務
紹介予定派遣の推進について
紹介予定派遣を推進するため、派遣元事業主が[職業紹介事業の許可を申請する際の手続きの簡素化を進める。
派遣先での正社員化の推進について
派遣先は、新たに正社員の募集を行う場合は、その事業所で1年以上受け入れている派遣労働者に対して、当該募集情報を周知する。
日雇い派遣原則禁止の要件緩和について
平成24年改正で原則禁止とされた日雇い派遣については、現在の年収要件を見直すことにより雇用の機会を拡大するなど、法改正を行わずに実施できる見直しについて検討する。
今回の報告書の最大のポイントは何と言ってもの期間制限の見直しです。派遣労働者個人単位では3年までの制限があるとはいえ、過半数代表者の意見聴取を行えば、事実上期間制限なく継続して派遣労働者を受け入れることができるという内容になっています。労働側はやはりこの点に難色を示しており、今回の報告書案は前回のものと比較すると、この意見聴取に関して企業側に派遣労働者受入開始時からの派遣労働者数などの資料を過半数代表者に提供することや意見聴取の手続き、記録の保存などの措置が追加されています。
今後、厚生労働省は通常国会での法改正を経て、2015年4月施行を目指していますが、企業の人材調達に大きな影響を与える内容であることは間違いなく、労働契約法改正などと合わせて、今後も注目していく必要があるでしょう。
参考リンク
厚生労働省「第203回労働力需給制度部会 資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000034854.html
(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/
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