メンタルヘルス対策の充実などが盛り込まれた改正労働安全衛生法案要綱

dr 多くの企業において従業員の健康障害が大きな問題となる中、安全衛生管理の重要性が年々増しています。来年度は労働行政も更に安全衛生を重視するという話も聞かれていますが、労働安全衛生法の改正の議論が進められています。昨日、厚生労働大臣は、労働政策審議会に対して、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱」の諮問を行いました。

 今回はこの法律案要綱のポイントを見ていくことにしましょう。
化学物質管理のあり方の見直し
・一定の危険性・有害性が確認されている化学物質を取り扱う場合に、危険性または有害性などの調査(リスクアセスメント)を行うことが事業者に義務付けられます。
メンタルヘルス対策の充実・強化
・労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師・保健師による検査の実施が事業者に義務付けられます。
・事業者は、検査結果を通知された労働者の申出に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮など、適切な就業上の措置を講じることが求められます。
受動喫煙防止対策の推進
・受動喫煙防止のため、全面禁煙・空間分煙その他の厚生労働省令で定める措置を講ずることを事業者の努力義務とされます。
・受動喫煙防止対策に取り組む事業者に対し、国が必要な援助を行うこととします。
重大な労働災害を繰り返す企業への対応
・企業単位での改善計画を作成し、改善を図るべきことを厚生労働大臣が指示する仕組みが創設されます。計画作成などの指示に従わない企業に対しては、大臣が勧告し、勧告にも従わない場合は、企業名を公表される仕組みが導入されます。
外国に立地する検査機関等への対応
・ボイラーなど特に危険性が高い機械の製造などを行う場合に受けなければならないこととされている検査や検定を行う機関として、外国に立地する機関であっても登録を受けられるようになります。
規制・届出の見直し
・建設物または機械などの新設などを行う場合に事前の計画の届出を求めている第88条第1項を廃止するなど、規制・届出が見直されます。
・特に粉じん濃度が高くなる作業に従事する際に使用が義務付けられている電動ファン付き呼吸用保護具が、型式検定・譲渡制限の対象に追加されます。

 中でも注目されるのはのメンタルヘルス対策の充実・強化でしょう。健康診断における問診の追加などの対応が求められますが、それ以上に医師による面接指導の結果によって一定の対応を取らなければならないという点で一定の負担となるでしょう。うつ病などメンタルヘルス不調者の問題は企業の人事労務管理において最大の課題の一つとなっていますので、有効な対策が進められることが望まれます。


参考リンク
厚生労働省「「労働安全衛生法の一部を改正する法律案要綱」について、労働政策審議会に諮問を行いました」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000035467.html


(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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