中国人事管理の先を読む!第77回「高まる人事制度の見直しニーズ」

中国人事管理の先を読む!第77回「高まる人事制度の見直しニーズ」 2014年3月4日、上海市内のホテル会場にて、グループ企業である株式会社名南経営コンサルティングとの合同セミナーを開催しました。天候が芳しくない中、約120名の駐在員の方、人事担当のスタッフの方にお越しいただき、セミナー後の懇親会にも40名のみなさまにご参加いただくことができました。ご来場いただいた皆さまには誌面をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 名南経営コンサルティングの服部英治氏は、「本社が行っている駐在員管理と若手・中堅駐在員に求められる役割」と題した内容で講演をされ、駐在員の皆さまは普段、ご自分に対する労務管理についてはあまり聞くことができないため、熱心に耳を傾けていらっしゃいました。一方、私からは「中国進出企業の労務管理と人事処遇制度」という内容で、日系企業が人事制度を構築していく上でこれだけは押さえておきたいという、大切な2つのことをお話させていただきました。ひとつは「人事制度そのものを仕事基準で設計し運用していくこと」、もうひとつは「ベースアップと昇給を区分して運用し、世間相場への対応にはベアをしっかりと行うこと」です。中国では、とにかく仕事に対する報酬という意識が強く、また仕事の付加価値に対してサラリーを決めていかなければよい人材の採用が難しくなる上に、優秀な人材すら外部へ流出してしまうこと、それと関連して常に同業種や同地域における自社の賃金水準を意識し、企業全体の賃金水準を表すベースアップを重視しながら競争力を保っておくことなど、常日頃から私がこの誌面やあらゆるところでお話させていただくことを、今回のセミナーでもできるだけ分かりやすく解説させていただいたつもりです。

 セミナー終了後、ご来場いただいたみなさまにアンケートをご記入いただいたのですが、その回答で驚いたのは、人事制度の見直し、再構築を行いたいというご要望が非常に多いことでした。その背景として、中国は過去の中国ではないということ。つまり人頭によって日々の企業運営を回していける時代は終わり、優れた人材をいかにリテンションし、育成し、将来を担う幹部へと育て上げていくかが企業の大きなテーマになっていることがあるようです。そのためには、きちんとした人事制度を作り、運営していくことが大事です。中国における人材マネジメントは、次第に高度な戦略的要素を求められてきていると言えるのではないのでしょうか。


参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)
http://blog.livedoor.jp/kiyoharamanabu/

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