出張費用削減策の上位は日当・宿泊料見直しとインターネット会議の導入
景気の回復により、企業の活動も活発化しており、出張費用の増大が気になる状況になってきています。どの企業においてもコスト増には敏感になっていますので、出張費用を如何に抑制するかが大きなテーマにもなっていることでしょう。
そんな中、一般財団法人労務行政研究所より「国内・海外出張旅費に関する実態調査」の結果が公表されました。本日はこの中から、最近3年間(おおむね2011年以降)の国内出張費用の削減状況およびその内容について取り上げることとしましょう。なお、この調査の対象は、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3417社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)298社の合計3,715社で、今回の集計対象はこのうち回答のあった226社となっています。
まず最近3年間で国内出張費用の削減を行った企業は33.6%に止まっており、65.5%は削減していないと回答しています。過去の同調査では概ね50%の企業で削減を行ったという回答が見られましたので、この費用削減の動きは若干落ち着いてきています。これは既に一定の削減が実施済であり、新規の取り組みがなかったと見るのが相当であるのかも知れません。
一方、削減の内容については大きな変化が見られます。以下で2000年の上位5つと今回の上位5つを比較してみましょう。
[2000年]
1位 回数券の利用(55.9%)
2位 宿泊から日帰り出張に切り替え(39.8%)
3位 出張回数(人数)の削減(35.6%)
4位 ディスカウントチケットの活用(33.1%)
5位 グリーン車の利用制限(28.0%)
[2014年]
1位 日当の見直し(43.4%)
2位 宿泊料の見直し(35.5%)
3位 テレビ・インターネット会議の導入・活用(30.3%)
4位 出張回数(人数)の削減(18.4%)
5位 ディスカウントチケットの活用(13.2%)
このように削減内容の上位3つはすべて入れ替わっており、出張旅費規程を見直し、会社から社員に直接支給される金額を削減するというものが1位・2位を占めています。また3位のテレビ・インターネット会議の導入・活用、そして4位の出張回数(人数)の削減は、そもそも出張自体を減らそうという動きに対応しています。
2000年からの14年間でもっとも環境が変わったのは東京(羽田)を中心とした飛行機の利便性の向上および料金の低下、そしてインターネットの普及でしょう。いまや出張は日帰りが当たり前になり、またインターネット技術の進歩により、通常の打ち合わせ程度であれば、互いの会議室をネットで結んでしまえばわざわざ出張して出向く必要がない時代になっています。
出張はコストの増大だけではなく、過重労働の原因にもなります。ITを上手に活用することにより、より生産性の高い仕事を実現すると共に、無駄なコストの削減を進めて行きたいものです。
関連blog記事
2014年7月9日「減少する出張時の新幹線グリーン車利用 部長級では4.1%に止まる」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/39035366.html
参考リンク
一般財団法人労務行政研究所「出張におけるグリーン車と航空機の利用基準を調査」
http://www.rosei.or.jp/research/pdf/000062691.pdf
(小堀賢司)
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