従業員10名以上の小売業、飲食店等で配置が求められる安全推進者

lb03150-l 1年間に発生する休業4日以上の死傷労働災害は全業種合計で約12万件となっていますが、そのうち約5万件は第三次産業において発生しています。またこれは製造業や建設業といった危険または有害な業務が多い業種の約4.5万件を上回っている状況となっています。その一方で、第三次産業の事業場については、一部を除き労働災害防止活動を担当する安全管理者等の選任や安全委員会の設置が義務付けられていないことから、事業場として安全管理体制の構築が十分なされていないケースが見られます。

 このような現状を踏まえ、平成25年に厚生労働省より策定された「第12次労働災害防止計画」の中で、第三次産業が重点業種として設定されましたが、さらに今回、「労働安全衛生法施行令第2条第3号に掲げる業種における安全推進者の配置等に係るガイドライン」が策定されました。以下では、そのガイドラインのポイントについて確認しておきましょう。
対象事業場
 労働安全衛生法施行令第2条第3号に掲げる業種の事業場であって、常時10人以上の労働者を使用するもの。

従業員10名以上の小売業、飲食店等で配置が求められる安全推進者

安全推進者の要件
 安全推進者は、職場内の整理整頓(4S活動)、交通事故防止等、業種の別に関わりなく事業所内で一般的に取り組まれている安全活動に従事した経験を有する者のうちから配置すること。なお、常時使用する労働者が50人を超える事業場や労働災害を繰り返し発生させた事業場については、安全に対する知見を少しでも多く有する者を配置する観点から、以下の者を配置することが望ましい。
ア 安全衛生推進者の資格を有する者(安全衛生推進者養成講習修了者、大学を卒業後1年以上安全衛生の実務を経験した者、5年以上安全衛生の実務を経験した者等)
イ アと同等以上の能力を有すると認められる者(労働安全コンサルタントの資格を有する者、安全管理士の資格を有する者又は安全管理者の資格を有する者)

安全推進者の配置
 原則として、事業場ごとに1名以上配置すること。ただし、安全推進者の職務を遂行しうる範囲内において、一定区域内の複数の事業場で1名の安全推進者を配置することとしても差し支えない。

安全推進者の氏名の周知
 事業者は、安全推進者を配置したときは、その氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知すること。

安全推進者の職務
 安全推進者は、事業の実施を総括管理する者を補佐して、以下の職務を行うこと。なお、事業者は、こうした安全推進者の活動を実効あるものとするために、安全推進者に対して必要な権限を与えるとともに、知識の付与や能力の向上にも配意すること。
①職場環境及び作業方法の改善に関すること
 例:職場内の整理整頓(4S活動)の推進、床の凸凹面の解消等職場内の危険箇所の改善、刃物や台車等道具の安全な使用に関するマニュアルの整備等
②労働者の安全意識の啓発及び安全教育に関すること
 例:朝礼等の場を活用した労働災害防止に係る意義の周知・啓発、荷物の運搬等の作業に係る安全な作業手順についての教育・研修の実施等
③関係行政機関に対する安全に係る各種報告、届出等に関すること
 例:労働災害を発生させた場合における労働者死傷病報告の作成及び労働基準監署長への提出等

 これらの内容をまとめたパンフレットが公開され。以下よりダウンロードできますので、是非ご覧ください。
パンフレット「労働安全衛生法施行令第2条第3号に掲げる業種における安全推進者の配置等に係るガイドライン」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51330009.html

 今回、該当することになる小売業、社会福祉施設、飲食店などについては、労働者数10人以上の事業場に安全推進者を配置し、職場内の整理整頓や交通事故防止等、安全活動を進めていきましょう。

(福間みゆき)

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