職場コミュニケーションに関して発生している上司と部下の大きな認識のズレ
上司としては、部下をどのように動機づけ、そして自発的な行動を如何に引き出すかが管理者としての腕の見せ所となりますが、動機づけにおいては職場における充実したコミュニケーションが欠かせません。これに関して先日、日本生産性本部より意識調査の結果が発表されましたので、本日はこの内容についてとり上げましょう。
部下の意欲、能力に対する現状認識
部下、または後輩の仕事に対する意欲について「やる気を感じる」と回答した課長は78.2%で、多くの課長が部下、後輩の仕事への「やる気」を実感していることが分かります。その一方で、部下または後輩の仕事ぶりについて「満足している」課長は42.7%、能力について「満足している」課長は37.9%に止まっており、意識のギャップが発生しています。
育成、能力開発への意識
人材育成について「自分の役割である」と回答した課長は93.3%となっており、人材育成を「自分の役割」と認識している課長が多くいるなかで、部下、または後輩に対し個別の育成目標を「持っている」課長は55.4%と半分強に止まっています。また、その目標を「伝えている」課長は47.0%となっており、伝えられる側の一般社員をみてみると、上司から能力開発についての説明を「受けている」という回答は35.1%にとどまっており、課長の伝えているという認識と説明を受けているという一般社員の認識とにギャップが生じています。
育成の実践
育成の実践についてみてみると、部下または後輩の育成を「行っている」と回答した課長が81.8%いる一方で、部下または後輩を育成することに「自信がある」課長は40.8%にとどまっています。また部下、または後輩を褒めることについては、「育成につながる」という回答が98.1%を占め、ほとんどの課長が育成につながると認識しているものの、実際に部下を褒めている課長は78.4%となっています。また、褒められる側の一般社員をみてみると、自分の上司は「褒める方だ」という回答は48.6%にとどまり、褒める側・褒められる側の認識に大きなギャップがあることが分かります。
コミュニケーション
業務上のコミュニケーションについては、課長の83.0%、一般社員の72.3%が「コミュニケーションは取れている」と感じているようですが、相談することについてクローズアップしてみると、課長の84.9%は部下または後輩が「相談に来る」と考えている一方で、相談者側の一般社員で「よく相談する」と回答したのは59.2%にとどまっており、「めったに相談しない」という回答が37.9%となっています。このコミュニケーションについても相談する側・相談される側で認識に大きなギャップがみられます。
今回の調査結果により、育成を行う側の課長とその受け手である一般職員、相談をされる側の課長と相談する側の一般社員との両者に、大きな認識ギャップがあることが浮き彫りとなりました。そのため、コミュニケーションをとる際、課長は物事の目的を伝えるとともに、お互いが同じ認識をもつことができたのか確認していくことが求められます。また、両者の間に認識ギャップがあることをふまえた上で、それを補うためにより一層コミュニケーションを図っていくことが重要ではないでしょうか。
参考リンク
公益財団法人日本生産性本部「第3回「職場のコミュニケーションに関する意識調査結果」
http://activity.jpc-net.jp/detail/mhr/activity001420.html
(福間みゆき)
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