厚労省事務連絡に基づく主治医と産業医の意見が分かれた場合の傷病手当金の取扱い

主治医と産業医の意見が分かれた場合の傷病手当金の取扱い 近年、メンタルヘルス不調などにより休職せざるを得ない労働者が増加しています。その原因が私傷病であり、健康保険の被保険者となっている場合には、一般的には健康保険の傷病手当金を請求しますが、この傷病手当金の取り扱いに関して、厚生労働省保険局保険課から事務連絡が出されていますので、今回はその内容を取り上げましょう。

 傷病手当金の請求書には「療養担当者が意見を記入するところ」があり、被保険者の疾病または負傷の発生した年月日、原因、主症状、経過の概要及び労務に服することができなかった期間に関する事項を記載することとなっています。この記載は、被保険者の主症状、経過の概要等を記載するため、被保険者が診療を受けている医師等が行うこととなっています。しかし、復職前後になると、主治医と産業医の就労可否の判断が分かれることもあり、傷病手当金の支給についてはどちらの意見を採用するのか判断に迷うことがあります。これについて事務連絡では、以下のように示しています。
産業医が労働者(被保険者)の診療を行っている場合
 被保険者が診療を受けている医師が企業内で当該被保険者の診療を行う産業医であれば、産業医が意見書を作成することは差し支えない。
産業医が労働者(被保険者)の診療を行っていない場合
 被保険者が、診療を受けている医師等から労務不能であることについての意見が得られなかった場合、医師等とは別の産業医に対し、労働者としての立場で就業についての意見を求め、意見を求められた産業医が任意に作成した書類を保険者に提出することは差し支えない。この場合、医師等の意見書には、労務不能と認められない疾病または負傷に係る意見の記載を求めることとされたい。また、このような場合、保険者が、被保険者本人の同意を得た上で、産業医の意見を聴くことも差し支えない。保険者においては、これらの書類の提出を受けた場合等には、双方の意見を参酌し、適切な判断をされたい。

 最終的には、傷病手当金の請求書を受け取った保険者が個別に判断することになるため、主治医と産業医の意見が分かれた場合には、必要な書類等を準備し、請求するようにしましょう。


参考リンク
法令等データベース「傷病手当金の支給に係る産業医の意見の取扱いについて」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T140912S0010.pdf

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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