メタボ改善で健康保険料減額 来年の通常国会へ提出へ

メタボ改善で健康保険料減額 来年の通常国会へ提出へ 今週水曜日、厚生労働省「第82回社会保障審議会医療保険部会」が開催されました。そのテーマは医療保険制度改革。具体的にいえば、医療費が高騰を続ける中で、如何にその支出を抑え、適正化するかということでしたが、非常に興味深い内容が複数盛り込まれています。

 その中でもマスコミでもっとも大きく取り上げられたのが、メタボを改善すると、社会保険料が減額になるという内容でしょう。本日はその実際の議論について、厚生労働省の資料から読み解いてみることにします。

 今回の制度見直しの提案の背景には、我が国の疾病構造が生活習慣病中心となってきていることがあります。そこで今年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014では、以下の方向性が示されています。


 個人、保険者に対する健康増進、予防へのインセンティブを高めるため、以下の保険制度上の対応など、所要の措置を来年度中に講ずることを目指す。
・個人に対するインセンティブ
 医療保険各法における保険者の保健事業として、ICTを活用した健康づくりモデルの大規模実証成果も踏まえつつ、一定の基準を満たした加入者へのヘルスケアポイントの付与や現金給付等を保険者が選択して行うことができる旨を明示し、その普及を図る。あわせて、個人の健康・予防に向けた取組に応じて、保険者が財政上中立な形で各被保険者の保険料に差を設けるようにすることを可能とするなどのインセンティブの導入についても、公的医療保険制度の趣旨を踏まえつつ検討する。


 今回の社会保障審議会医療保険部会では、この内容についてより詳細の議論が実施されています。具体的には、特定健診の受診の有無、健診結果数値等基準となる指標を満たす者について、保険者が、ヘルスケアポイントの付与、現金給付など選択して行うことができる取組を保健事業を活用して促進するとしています。また保険料についても、公的医療保険制度の趣旨を踏まえつつ検討するとしています。まだまだ一部の保険者で行われている先行事例を検証している段階ですが、医療費を抑制するためには、特定健診の受診など生活習慣の改善に向けた個人の自助努力を促すことが不可欠ですので、この見直しは積極的に議論されていると予想されます。なお、厚生労働省は、この改正法案を来年の通常国会に提出したいとしています。来年の通常国会は、労働時間法制改革なども審議される予定ですので、人事労務関係で大きな変化がある年を迎えることになりそうです。


参考リンク
厚生労働省「第82回社会保障審議会医療保険部会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000061136.html

(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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