脳・心臓疾患および精神障害の労災事案にかかる重要通達が発出

労災事案にかかる重要通達が発出 近年、精神障害や脳・心臓疾患に関する労災請求が増加傾向にあります。また昨年11月には過労死等防止対策推進法が施行され、労災補償行政に関する国民の関心が高まっています。こうした環境を受け、厚生労働省は先日、都道府県労働局長宛に通達「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」を発出し、平成27年度の重点的推進事項として、以下の3つを示しました。
脳・心臓疾患及び精神障害事案の長期未決事案の削減
石綿関連疾患の更なる請求勧奨の実施
業務上疾病等に係る的確な労災認定

 中でも注目なのがの脳・心臓疾患及び精神障害事案の長期未決事案の削減になりますが、こちらについては、迅速処理に向けた調査上の留意点として、以下の2点が掲げられています。
(1)脳・心臓疾患事案における労働時間の把握が困難な事案への対応
 脳・心臓疾患事案において、タイムカード等労働時間が把握できる客観的な資料がないなどにより労働時間の把握が困難な事案については、監督担当部署と協議しつつ、事業場建物への入退館記録、パソコンによる作業履歴等の分析を行う等、労働時間の迅速・適正な把握を行うこと。
(2)精神障害事案の医学的意見の聴取
 認定基準に基づき主治医意見または専門医意見により決定することとされている事案について、精神障害専門部会(以下「専門部会」という)の意見を求めた結果、処理が遅延した事案が認められることから、署管理者は、医学的意見の聴取に当たり、専門部会の意見を求めるべき事案であるか否かを確認し、的確に判断すること。また、局は、専門部会の意見聴取の要否など医学的意見を求める方法について署に対し適切に指示を行うこと。なお、精神障害事案の迅速・適正な決定のため、必要に応じ、労災医員に対し事案の説明を行い、調査上の留意点について助言を得る等により効率的な事案処理を行うこと。

 上記のとおり、タイムカードがないような場合はセキュリティカードの入退室記録やパソコンのログ等により労働時間が把握されることになります。そもそも企業としても労働時間を適正に把握する義務があることから、タイムカードを導入したり、自己申告の場合は実際の労働時間と合致しているか否かを必要に応じて実態調査を行ったりして、労働時間を把握し過重労働防止に向けた労務管理をしていくことが求められます。


参考リンク
労災発0213第2号 労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T150225K0040.pdf

(福間みゆき)

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