保活の実態調査から分かる育休復帰者の不安

hokatu 4月から女性活躍推進法が本格施行されたことや、「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログが国会でも話題に上ったこともあり、子どもを保育園に入れるために保護者が行なう活動である「保活」について関心が高まっています。これに関し、厚生労働省では、4月11日より、「『保活』の実態に関する調査」を行っており、先日、中間の結果として4月30日までに回答のあったものが取りまとめられ、公表されました。その結果にはいくつかの興味深いものがありますので、その中から「保活」による苦労・負担についてみておきます。

 保活の結果、希望通りの保育施設を利用できた人も、利用でいなかった人も、多くの人が保活に対する苦労・負担を感じており、特に、「市役所などに何度も足を運ばなければならなかった」ことに対する苦労・負担感が大きいようです。さらに具体的な負担については以下のような内容が挙げられています。

「保育園探し」に伴う回答
・保育園見学や区役所での申し込みのため、産後直後の体力が回復していない時期から、授乳などが必要な乳幼児を連れて、何度も外出しなければならないこと。
・育児に加えて、情報収集や多くの保育所への見学申し込みをしなければならないこと。
・入園自体が難しいので、保育方針や保育の質で施設を選ぶ余裕がないこと。
・子どもが無事に生まれる前から、保育園に入れるか心配して情報収集や見学をしなければならないこと。

「職場、仕事との関係」に関する回答
・本当に仕事に復帰できるか分からないという不安があること。
・保育園に入れなければ職を失ってしまう不安があること。
・仕事をしなければ保育園に入れず、保育園に入れなければ仕事に就けないという状況で板挟みにあうこと。
・入園できるか直前まで分からないため、会社と職場復帰に向けての具体的な調整ができず、人員配置等で迷惑をかけること。

「入園時期」などに関する回答
・保育園の情報収集や見学などの努力を重ねても、4月に入園できないとどこにも入れない可能性があること。
・保育園に入りやすくするために、会社が認めている育児休業期間や自分が希望している育児休業期間を短縮しなければならないこと。
・子どもがいつ生まれても、行政の日程である4月入園を前提に入園や職場復帰を考えなければならないこと。
・早生まれだと保育園に入りにくく、生まれ月によって差があること。

 保育園を探すことはプライベートな問題ではあるものの、育休取得者に予定通り復帰してもらえるのかということは多くの会社が抱える不安でもあり、復帰状況によっては復帰予定部署に多大な影響を与えることになります。今後、復帰するにあたり、どのようなタイミングで、どのような対応が必要なのか、そして、保育園に入れない場合には、どのような対応が必要なのかといった内容をまとめ、休業者の状況を確認しながら、復帰を支援していく体制が求められているのでしょう。


参考リンク
厚生労働省「『保活』の実態に関する調査」の結果等について(平成28年5月20日)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124986.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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