来年1月1日に施行される雇用保険特定受給資格者の範囲見直し
ここのところ、雇用保険の財政状況が良好であり、積立金が6兆円を超える状況にあるといったような報道をよく見るようになりました。厚生労働省内部では、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会が開催され、来年以降に施行される雇用保険の改正が議論・確定されています。
これに先立ち、8月2日に雇用保険施行規則が改正され、来年の1月1日に施行されることになっています。その主な内容は以下の通りです。
■特定受給資格者の範囲の改正
以下の理由により離職した者について、新たに特定受給資格者に該当することとする。
・賃金不払いを理由とする離職について、賃金の1/3を上回る額が支払期日までに支払われなかった月が1月でもあった場合(現行の基準:引き続き2ヶ月以上または離職前6ヶ月のうち3ヶ月以上)
・事業主が育児・介護休業法等に規定する義務を違反した場合(例:休業等の申出の拒否、妊娠・出産等をしたこと及び休業等の申出をしたことを理由とする不利益取扱い、請求があったにもかかわらず所定外労働等をさせたこと等)
■一般教育訓練給付の対象となる費用の範囲の拡大
一般教育訓練給付対象者が、訓練開始日前1年以内に、キャリアコンサルティング(※)を受けた場合の経費について一般教育訓練給付の支給対象とする。
給付割合:費用(上限2万円)の2割する
※職業能力開発促進法第30条の3に規定する国家資格を有するキャリアコンサルタントが行うキャリアコンサルティングに限る。
■有期雇用労働者に係る育児休業給付・介護休業給付の支給
育児・介護休業法の改正に合わせ、有期雇用労働者に係る育児休業給付・介護休業給付の支給要件を緩和する。
①申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
②子が1歳になった後も雇用継続の見込みがあること
③子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く
↓
①申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
②削除
③子が1歳6ヶ月になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除く
■介護休業給付の対象家族の拡大
労働者の祖父母、兄弟姉妹、孫については、現在、労働者が同居・扶養している場合に対象家族となっているが、同居しない親族の介護を行う事例も見られることから、この同居・扶養要件を外す。
(対象家族)
①配偶者
②本人の父母
③配偶者の父母
④子供
⑤労働者が同居・扶養している祖父母
⑥労働者が同居・扶養している兄弟姉妹
⑦労働者が同居・扶養している孫
↓
①配偶者
②本人の父母
③配偶者の父母
④子供
⑤祖父母
⑥兄弟姉妹
⑦孫
改正育児・介護休業法の施行に合わせて変更されるものもあります、今後、周知が強化されるものと思われます。なお、職業安定分科会雇用保険部会では、この他にも基本手当の給付日数の変更等の議論も別途進められています。
参考リンク
厚生労働省「第114回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000131662.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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