厚労省へ要望があげられた国民年金事務の日本年金機構への一元化
現在、厚生年金保険の被保険者資格の得喪手続き等は、日本年金機構が行い、国民年金の被保険者の得喪や保険料の徴収手続き等は市区町村が行うことになっています。
これに関し、全国都市国民年金協議会は国民年金事務の日本年金機構への一元化の要望を厚生労働省年金局へ提出しており、厚生労働省年金局が回答を示しています。今回、日本年金機構が市区町村国民年金担当者向けに発信している情報誌「かけはし」に掲載されていますのでご紹介しておきましょう。
[全国都市国民年金協議会の要望]
■国民年金事務の日本年金機構への一元化
現在の国民年金事務は、取り扱い内容により、市区町村と年金事務所とで窓口が分かれているため、被保険者にとって極めて分かりづらい状況にあるうえに、市区町村を経由し、日本年金機構で処理・審査される事務については、それぞれに処理時間を要するため非効率であり、結果として住民サービスの低下を招いている。
また、「マイナンバー制度」の導入により、日本年金機構は、すでに住民基本台帳情報について市区町村を経由することなく取得することが可能であり、平成31年1月以降には課税台帳等の公簿情報の取得も予定されている。
さらに、戸籍情報についても、コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付サービスの拡充が図られているうえに、インターネットの普及により、窓口に来なくても申請書様式を自宅等で取得できるほか、近い将来には、マイナポータルでの電子申請も予定されるなど、市区町村に年金窓口を設ける必然性がより一層希薄になっている。
このような状況に鑑み、国民年金事務については、日本年金機構へ一元化を図ることを要望する。
併せて、一元化を図るにあたっては、住民サービスや利便性確保の観点から、希望により日本年金機構の出先窓口を市区町村庁内に設置できるようにすることも、併せて検討すること。
なお、国民年金事務の一元化や出先窓口の市区町村設置等が実現されるまでの間、段階的措置として、次の事項(※本ブログでは割愛)について早急な対応を要望する。
[厚生労働省年金局の回答]
国民年金第1号被保険者に係る資格関係の届出、免除等の申請及び年金の裁定請求に係る事務を法定受託事務として市区町村にお願いしていることは、住民基本台帳や市町村民税課税台帳などの公簿を備えている市区町村が住民にとって身近な窓口であることや、市区町村窓口で行う他の手続きと同時に行うことが可能な手続きもあり、住民サービスの観点からも大きな意義があるものと考えておりますので、ご理解ご協力をお願いいたします。
個人番号による情報連携の進捗状況を踏まえつつ、国民年金業務の在り方について、今後も継続して検討する必要があると考えておりますが、国民年金業務を円滑に進めるために、市区町村と国(厚生労働省年金局及び地方厚生(支)局)及び日本年金機構とが密接な連携を保ち、取り組んでまいりますので、引き続きご協力をお願いいたします。
現状、すぐに取扱いが変わることはないようですが、マイナンバーが社会に浸透していくことで、様々な手続きのあり方が変わろうとしていることがここでも垣間見れます。
参考リンク
日本年金機構「かけはし 第53号(平成30年11月1日)」
https://www.nenkin.go.jp/cooperator/shikuchouson/kakehashi/2018/20181101.files/20181101.pdf
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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