短時間正社員は社会保険に加入できるのですか?

 大熊が服部印刷に到着すると、今日も福島さんが待っていてくれた。


福島さん:
 大熊先生、こんにちは。そういえば、大企業から始まるという社会保険の適用拡大も、気づけば1年後になりましたね。
宮田部長宮田部長:
 そうそう、この前、面接をしたパートさんが、1日5時間で5日間、つまり1週25時間の勤務にする予定なのですが、「社会保険に加入できますか?」って聞かれたのです。社会保険に加入したいパートさんって少ないイメージだったので、少し驚きました。
福島さん:
 そうですよね。入りたくない!給与の手取りが減るのは嫌だ!っていう人の方が多いんですよね。この方には、社会保険に加入できる時間の説明と、あと雇用保険は加入となることを伝えておきました。
大熊社労士:
 そのような出来事があったのですね。確かに御社は社会保険の適用拡大があったとしても、対象外ですので、1週間25時間ですと、社会保険には加入できませんよね。
服部社長服部社長:
 そういえば、最近、新聞等で見かける週休3日の正社員や、短時間でも正社員扱いしようという人はどうなるのですか?やっぱり、正社員のおおむね4分3の労働日数・労働時間という条件を満たさなければ、社会保険には加入できないのですよね?
宮田部長:
 でも、社長、それだと福利厚生が充実しているという正社員のメリットがないですよね。まぁ、福島さんの言うとおり、手取り重視!って人にはよいのかも知れないけれど。
大熊社労士:
 そうですね。まぁ、いろいろな人がいるので、個人が何を重要にしているかは、その人により異なる訳ですが、社長のおっしゃる週休3日や短時間正社員については、一定の要件を満たせば社会保険に加入することになります。
福島照美福島さん:
 正社員の4分の3の労働日数・労働時間という人はまず、問題なく社会保険に加入しますよね。
大熊社労士:
 そうですね。それに加えて、たとえ4分の3の労働日数・労働時間がないとしても、「短時間正社員」といった制度として整っていれば、加入が見込まれます。もう少し詳しく説明しましょう。まず、短時間正社員について労働契約、就業規則、給与規定等に規定されていることが必要です。
服部社長:
 特例的な扱いで、短時間としている訳じゃないということですね。
大熊社労士:
 そうですね。そして次に、期間の定めのない労働契約が締結されていることがあります。
福島さん:
 一般的に言う「正社員」と同じということですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そして、賃金規程等における待遇が同種フルタイムの正社員と同等であり、かつ、就業実態も短時間正社員にかかる諸規定に即したものであること。つまり、基本は正社員で、時間だけが短くなった人ってことですね。
服部社長:
 なるほど、パートタイマーとはまったく考え方が逆ですね。
大熊社労士:
 そうですね。いま挙げた3つの要件を見ると、正社員と比較して時間が短いだけですからね。会社としても、正社員と同じようなパフォーマンスを求めると思いますし。
服部社長:
 そうですね。今後、短時間正社員制度を検討する際には、念頭において対応することにします。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。最近は、多様な働き方という表現を使って、様々な働く場所や働く時間を認める風潮が少しずつ広がってきています。多様な働き方を模索するときには、今回の社会保険の適用についても最初にどのようになるのか確認しておきましょう。


参考リンク
日本年金機構「~事業主の皆様へ~ 知っておきたい“適用関係届等のQ&A」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/share/pdf/existing/main/employer/todofuken/pdf/26_01/kanagawa.pdf

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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