社会保険適用拡大(1)パートタイマーへの社会保険の適用拡大が始まります

 大熊は先日、日本年金機構から公開された「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集」を確認した上で、服部印刷に向かった。
リーフレットバンク「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51408571.html


大熊社労士:
 ここのところ急激に暑くなって来て、いよいよ本格的な暑さがやってきたという感じですね。
宮田部長宮田部長:
 本当に。クールビズの始まりが5月からでよかったですよ。5月も下旬になってくると日中の暑さがすごいですからね。
大熊社労士:
 そうですね。さて、今日はこれから訪れる夏を飛び越して、秋から始まる社会保険の適用拡大の話をしましょう。
宮田部長:
 大熊先生、気が早いですね。まだビヤガーデンにも行けてないのに。社会保険の適用拡大・・・ですか?
大熊社労士:
 はい。かなり前に決まった法律なのですけれども、1週間に20時間以上働くパートさんにも社会保険(健康保険・厚生年金保険)を適用していきますよ、というものです。
宮田部長:
 え!え!えぇぇぇ!?そりゃたいへんじゃないですか。うちのパートさんは、ご主人の扶養の範囲内ということで働いている人もいます。それが扶養から外れてしまうってことですよね?税金が高くなってしまうじゃないですか!
大熊社労士:
 いろいろ頭が混乱されているようですね(苦笑)。少しだけ整理をしておきましょうね。いま宮田部長がおっしゃっていたパートさんはおそらく、健康保険の扶養(国民年金の第3号被保険者)と、所得税法上の控除対象配偶者になっているのでしょうね。
福島さん:
 はい、そうだと思います(笑)
大熊社労士:
 ですね。今回は、社会保険の適用拡大に関する話です。今後は週20時間以上働くなど、一定の条件に該当したパートさんについても社会保険に加入することになります。社会保険に加入するということですので、ご主人の健康保険の扶養は外れることになり、国民年金は第2号被保険者になることになります。ただし、これが所得税法上の控除対象配偶者ではなくなることとイコールではありません。
福島照美福島さん:
 あくまでも、加入する健康保険と国民年金の被保険者種別が変わるということですよね。
宮田部長:
 じゃあ、別に税金のことを気にすることはないんだね。ん、待てよ、社会保険に加入するということは、社会保険料の負担が発生するということですよね?
大熊社労士:
 はい、そうです。これまではご主人の扶養になっていたわけですから、健康保険料も国民年金保険料も払わなくてもよい(払われている)状態となっていました。それがパートさん自らが被保険者として支払うことになります。そして、原則として同額の会社負担がありますので、会社の社会保険料も増えるということになります。
宮田部長:
 そ、そうですよね!そりゃたいへんじゃないですか!!大熊先生、どうしてもっと早く教えてくれなかったのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 その理由ですが、御社がひとまずは適用対象外だからです。今回の社会保険の適用拡大は、企業全体で見て被保険者数が500人超のところが適用となります。まぁ、大企業から適用になるということですよね。
宮田部長:
 な、なぁんだぁ。じゃ、うちはいままでどおりということですね。
大熊社労士:
 はい、当面、基本的な考え方はいままでどおりと理解していただいて問題ありません。ただし、2点ほど注意が必要になります。まず、1点目は社会保険に加入するパートさんの基準が変更になったことです。これは、次回以降詳しくお話をしようと思っているのですが、いわゆる4分の3要件、4分の3基準がきちんと整理されました。そして、2点目は御社の従業員の奥様等にご注意ください。
福島さん:
 あ!なるほど!
大熊社労士:
 福島さんは気づかれましたね。さすがです。
宮田部長:
 ???(; ̄ー ̄)…ン?
大熊社労士:
 (笑) 従業員の奥様(ご主人)の中には、大企業で社会保険に加入しない程度の労働時間で働いている人がいらっしゃるかも知れません。御社の従業員の扶養になっているということですね。この方たちが、もしかすると勤務先で社会保険に加入することになるかも知れません。
宮田部長:
 そうかぁ。そうなると、うちの方でも手続きが発生するということですね。
大熊社労士:
 そうですね。御社で扶養を外す手続きをしなければなりませんし、それを忘れてしまうと、健康保険証が2
枚・・・なんてことになりますからね。そして、その前提として従業員さんから相談があるかも知れません。適用になるのは大企業からかも知れませんが、内容はしっかり確認しておきましょうね。
宮田部長:
 了解しました。
福島さん:
 私も少しだけ勉強した覚えがあるのですが、きちんと勉強したいので、次回、説明していただけませんか。
大熊社労士:
 そうですね。承知しました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。いよいよパートタイマーへの社会保険の適用拡大の情報が明らかになってきました。今後、適用の対象となる企業(特定適用事業所)には、8月ごろからに通知が来る予定ですので、きちんと確認し、やるべきことの整理をしておきましょう。


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2016年5月18日「通達で示された社会保険適用拡大後の「4分の3基準」取り扱い」
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2016年5月17日「必見!ついに公開されたパートタイマーへの社会保険適用拡大のQ&A」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52104428.html
2016年5月18日「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51408571.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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