勤務間インターバル制度設計(1)勤務間インターバル制度の導入を検討してみようと思うのです

 今日の訪問では、服部社長から相談があると事前に聞き、大熊はそれを楽しみにして会社に向かった。


服部社長服部社長:
 大熊さん、お待ちしていましたよ。今日はいろいろと相談があったものですから、お呼び立てして申し訳ない。
大熊社労士:
 そうでしたか。そんなお申し出であれば大歓迎ですよ!それで今日はどのようなご相談でしたでしょうか?
服部社長:
 はい、実は当社で勤務間インターバル制度の導入を検討したいと思いました。
福島照美福島さん:
 えっ?社長、そんなこと考えていらっしゃったのですか?
服部社長:
 あぁ、実はそうなんだよ。1年半くらい前に宮田部長と福島さんは、大熊さんからこの制度の説明を受けて、私に報告してくれたことがあったと思う。実はあのとき、これはなかなかいい制度だなと思って、自分なりに調べていたんだ。
関連blog記事
2017年3月20日「勤務間インターバルってなんですか?」
https://roumu.com/archives/65773216.html
宮田部長宮田部長:
 そうだったんですね、社長。関心を持ったことについて、ご自身で調べられるというのは社長の必殺パターンですが、まさか勤務間インターバル制度の研究をされていたとは知りませんでした。
大熊社労士:
 私も驚きましたよ。これまでどのようなことを調べられたのですか?
服部社長:
 はい、厚生労働省が制作している事例集などを読んで、当社で導入する際のメリットやデメリットなどを考えていました。
関連blog記事
2017年4月12日「勤務間インターバル制度導入事例集」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51469144.html
大熊社労士:
 いやぁ、参りました。さすが服部社長です。それで今日のご相談というのはどんなことなのでしょうか?
服部社長:
 はい、勤務間インターバル制度は来春、法改正により努力義務化されると思うのですが、世間の導入に向けた機運はどうなっているのかと思いまして。
大熊社労士:
 なるほど、そういうことですね。まず行政としてはかなり力が入っています。7月に取りまとめられた過労死防止大綱では2020年に導入率10%の目標が設定されていますし、来年度は中小企業が勤務間インターバル制度を導入した際に支給される助成金(時間外労働等改善助成金 勤務間インターバル導入コース)の上限額が2倍に引き上げられるという方針も出ています。
服部社長:
 そうなのですね。企業の方はいかがでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 企業の方はこれからでしょうね。ただ日本経済新聞が6月に大企業を対象に実施したアンケート調査では、勤務間インターバル制度を導入している、または検討するという企業が7割くらいになっていました。これは予想ですが、年明けの春闘では多くの大企業で導入に向けた議論が行われ、来春の努力義務化のタイミングでは多くの大企業が制度導入を行うのではないかと思っています。
服部社長:
 なるほど、そうなのですね。
大熊社労士:
 社長、そもそもなぜ勤務間インターバル制度に関心を持たれたのでしょうか?
服部社長:
 それは社員の健康維持にもっとも直接的な対策だと思ったからですよ。やはり睡眠時間が削られると、体も辛くなり、それが続くとやはり病気になってしまいます。またそうでないとしても寝不足の頭では集中力も高まらないので、仕事の質も低下しますからね。いや、難しいことはなにもなくて、自分自身の経験と反省ですよ。
大熊社労士:
 そうだったのですね。その点については私もまったく同意見です。残業が長くなって、帰宅する時間が遅くなると、やはり睡眠時間が削られますからね。いくら急いで帰ったところでそんなに通勤時間は変わりませんし、食事やお風呂の時間も現実的に短くするのは困難です。となると、最後に残った睡眠時間が短くなって、疲れが取れないということになってしまいます。
服部社長:
 ですよね?だから、インターバルを設定することで健康を維持し、よりよい仕事をしてもらおうという趣旨なのです。

大熊社労士:

 わかりました。それでは次回はその具体的な制度設計を行いましょうか。
服部社長:
 よろしくお願いします。楽しみにしています

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。服部社長が勤務間インターバル制度の導入に前向きであるということが判明しました。まだまだ導入実績の少ないこの制度ですが、来春にかけては大企業中心に結構な数の企業が導入するのではないかと予想しています。服部社長の意見のように、社員の健康保持にもっとも直接的な対策の一つですので、是非前向きに検討いただくとよいのではないかと思います。


関連blog記事
2017年3月20日「勤務間インターバルってなんですか?」
https://roumu.com/archives/65773216.html
2017年4月12日「勤務間インターバル制度導入事例集」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51469144.html

参考リンク
厚生労働省「勤務間インターバル」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/
厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000101654_00003.html

(大津章敬)

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