勤務間インターバル制度設計(4)インターバルの例外取り扱いはどう考えればよいでしょうか?

 現在、勤務間インターバル制度の設計を行っている大熊。今日で基本的な制度設計を終えるため、最後の検討テーマに入ることにした。
これまでのブログ記事はこちら
2018年10月22日「勤務間インターバル制度設計(3)休息時間が翌日の始業時刻に及んだ場合はどうすればよいでしょうか?」
https://roumu.com/archives/65802781.html
2018年10月15日「勤務間インターバル制度設計(2)インターバルの時間数は何時間にしましょうか?」
https://roumu.com/archives/65802766.html
2018年10月8日「勤務間インターバル制度設計(1)勤務間インターバル制度の導入を検討してみようと思うのです」
https://roumu.com/archives/65802550.html


大熊社労士大熊社労士:
 前回までに勤務間インターバル制度を設計するに当たっての検討ポイントであるインターバルの時間数、そして休息時間が翌日の始業時刻に及んだ場合の取り扱いについて議論しました。
服部社長:
 そうですね。かなり考えがまとまってきましたよ。
大熊社労士:
 ありがとうございます。それでは今日は最後の検討ポイントとなる③例外の取り扱いについて考えたいと思います。勤務間インターバル制度は来春より法制化されますが、まずは努力義務になります。よって当面は、会社として無理のない範囲での導入を進めるのがよいと思います。
宮田部長宮田部長:
 そうですね。あまりガチガチに制度を組んで、仕事が回らなくなり、お客様にご迷惑をお掛けしてしまったら、本末転倒ですものね。もちろん社員の健康管理が重要なことは言うまでもありませんが。
大熊社労士:
 そうですね。服部社長、以前確認された厚生労働省の「勤務間インターバル制度導入事例集」でも例外が設定されている事例があったかと思います。
服部社長服部社長:
 はい、ありましたね。一番分かりやすかったのは群馬県のスーパーマーケット「フレッセイ」の事例ですね。この会社では、年末年始(12月30日、31日、1月1日)については、労使協定の中に勤務間インターバルは適用外として規定しているとありました。やはり正月の準備で客が殺到して忙しいのでしょうね。
大熊社労士:
 そうですよね。このように業務の状況に応じて例外の取り扱いを設けることもできる訳です。また TBCグループ株式会社のように9時間のインターバルの取得を義務とした上で、社員の健康管理上の指標として、11時間のインターバルを付与することを規定し、11時間未満となる日が月のうち11日以上となった社員には個別に健康指導等を行うという規定を設けるといった二重の対応をするといったことも考えられます。
福島照美福島さん:
 この事例って、見方を変えると、基本的には11時間のインターバルの取得を求め、それが仕事の状況で確保できない場合には例外を認めるけれども、9時間は割ってはいけないということですよね。そして、その例外が月の半分を超えるような状況の場合は、健康確保措置を実施し、その実効性をより高めるという取り扱い。よく考えられていますね。
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。さすがの分析です。私も同じ印象を持っています。これと同様の仕組みはわが国でもっとも有名なインターバルの導入事例であるKDDIでも採用されており、私は現時点ではこれをスタンダードとして考えるのがよいと思っています。
服部社長:
 そうか。一定の例外を認めると考えれば、インターバルの時間をもう少し長くすることができそうだな。
大熊社労士:
 そうなのです。御社では前回、9時間のインターバルという方向性を打ち出されましたが、TBCやKDDIと同様に考えれば制度設計も少し変わってくるかも知れません。
服部社長:
 そうですね。この点はもう少ししっかり考えてみたいと思います。宮田部長、福島さん。もう少し私なりに考えて、また相談するので、その際には就業規則の変更などをよろしくお願いします。
宮田部長:
 分かりました!

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。ということで勤務間インターバ
ル制度に関する短期連載を行いました。来春には努力義務化されるこの制度ですが、睡眠時間を確保することで健康障害の発生を防止するというかなり直接的な対策となり、一定の効果も見込まれます。なお、弊社ではまずは自分のところからと考え、10月1日より実際に勤務間インターバル制度の導入を行いました。規程整備も含め、ご支援できますので、よろしければお声掛けください。
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/52460164.html


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2018年10月8日「勤務間インターバル制度設計(1)勤務間インターバル制度の導入を検討してみようと思うのです」
https://roumu.com/archives/65802550.html
2018年9月18日「名南経営 2018年10月1日から勤務間インターバル制度を導入」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/52460164.html
2017年3月20日「勤務間インターバルってなんですか?」
https://roumu.com/archives/65773216.html
2017年4月12日「勤務間インターバル制度導入事例集」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51469144.html

参考リンク
厚生労働省「勤務間インターバル」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/interval/
厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000101654_00003.html
情報労連「「勤務間インターバル制度」の導入に向けて(第2版)」
https://www.joho.or.jp/download/wpdmpro-400

(大津章敬)

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