人事評価に満足している社員の割合はわずか3.2%なのです
なかなか梅雨明けをしない空を見上げながら、大熊は服部印刷の門をくぐった。
大熊社労士:
おはようございます。
服部社長:
大熊さん、おはようございます。この蒸し暑い朝にありがとうございます。まだ雨は降っていましたか?
大熊社労士:
はい、少し降っていました。しかし、九州などの大雨はすごかったようですね。今年の梅雨は日照不足と局地的な大雨という少し変な感じですね。
福島さん:
そうなんです。この週末も家族でスーパーに買い出しに行ったのですが、野菜がすごく高くなっていてびっくりしました!
大熊社労士:
こういう天候だとどうしてもそうなってしまいますね。私も出張先のホテルの朝食にあるサラダバーで一気に野菜を補給しているような感じです。さてさて、夏季賞与の支給はもう完了ですよね?
宮田部長:
はい、先週、無事支給が終わりました。今年は業績を反映して例年より少し水準が高いので、みんな喜んでくれたようなのですが、それでも人事評価結果がもう一つ納得いかないという意見もいくらか聞かれたようです。
服部社長:
そうだったのか。人事評価については大熊さんの協力も得ながら定期的に基準の見直しなどを行っているが、それでもやはり一定の不満が出るものだなぁ。
大熊社労士:
そうですね。御社は他社よりも人事評価制度についてはかなり気を使われていて、随時基準の見直しなども行われていらっしゃいますが、いろいろな要因でどうしてもそうした声が出てしまいますね。
服部社長:
社員のためを思ってやっているのだが、どうしたものか…。
大熊社労士:
人事評価に関しては、ある面白い調査がありますので、それをご紹介しましょう。これは2015年に日本経済新聞社とNTTコムリサーチが、20代~50代のビジネスマンを対象に実施した「人事評価に関する意識」についてのインターネットアンケート調査の結果なのですが、これがなかなか面白いのです。
服部社長:
というと、どのような結果がだったのですか?
大熊社労士:
はい、まず人事評価に満足しているかという設問について、「満足」と答えた人はわずか3.2%という結果でした。
宮田部長:
なんと3.2%!ほとんど誰も満足していないということですね。
大熊社労士:
まあ、そういうことになりますね。これに「どちらかというと満足」の19.7%を加えた満足の合計は23.0%となっています。
福島さん:
逆に不満という回答はどうだったのですか?
大熊社労士:
はい、「不満」が14.5%、「どちらかというと不満」が19.2%でしたので、不満の合計では33.7%と満足を上回っています。ちなみに「どちらでもない」がもっとも多く43.4%となっています。
服部社長:
なるほどなぁ。一般論でいうと、誰もが他者評価より自己評価が高い傾向があるので、こういうことになるのかもしれないなぁ。
大熊社労士:
なお、満足の合計と不満の合計を比較したとき、不満の合計が大きいのは男女とも、50歳代がもっとも大きく、50歳代の女性の満足計に至ってはたった8.7%、不満計は43.7%となっています。
宮田部長:
あらら、ベテラン女性社員の多くはかなり不満が溜まっていると思って接しないといけないな、こりゃ。
大熊社労士:
まあ、そうなのかも知れませんが、これは単に人事評価の問題だけではなく、与えられている仕事の内容や日常的なコミュニケーションなどにおいても不満足を与えるような要因があると考えた方がよいかも知れませんね。
福島さん:
そうですね。その気持ち、なんとなく分かります。
大熊社労士:
それでは、なぜ多くの社員が人事評価に不満であるのか、その理由については次回お話ししましょう。
服部社長:
ありがとうございます。当社もよりよい人事評価制度を導入し、社員がより頑張れる環境を作りたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。多くの企業で夏季賞与の支給が終わり、改めて人事評価制度について考える時期になっていることから、今回は人事評価制度について取り上げました。肌感覚でも不満が大きいのだろうとは感じますが、実際に調査を行うとその状況がよく分かります。それでは次回はポイントとなる人事評価不満の原因について取り上げたいと思います。
NTTコムリサーチ「「人事評価に関する調査」結果」
https://research.nttcoms.com/database/data/001961/
(大津章敬
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