これが中国の人事制度だ! 第2回「知られていない2011年の一人っ子手当の改正」
上海に駐在している日本人の中でも意外に知られていませんが、上海市には「上海市計画生育奨励及び補助に関する若干の規定」という政令があり、企業は一人っ子の証明書を持っている従業員に毎月2.5元の手当を支給しなければならないと規定されています。
この政令が2011年6月14日に改正公布となりました。そこでは、企業は、一人っ子の証明書である「独生子女父母光栄証」を持ち、上海市の戸籍を有する従業員に、子供が満16歳になるまで毎月30元の手当を支給するよう、金額の引き上げがされました。なお、この改正は同年1月1日に遡って扱われ、企業はその間の差額を支給しなければなりません。
中国では極度の少子高齢化が進んでおり、至るところで一人っ子政策の緩和が議論されていますが、このような政令の公布を見るとまだまだ市民に対する一人っ子の奨励は続くのではないかと感じさせられます。
また、中国には生育保険という社会保険の一種があり、妊娠中、或いは出産後の女子従業員にはこの保険から各種手当が支払われますが、確かに二人目の出産以降は手当の制限もあり、病院での出産費用なども減額されたりします。厳しい目で見れば、多産は計画生育違反なので、行政罰により、解雇できるという解釈も存在します。
急激な人口の増加はそれ自体、社会問題を引き起こしますが、年金政策などを考えた場合、一人っ子政策の影響は今後更に大きな社会問題の要因になっていくと思われます。(清原学)
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