日本と中国、それぞれの報道に見る隣国関係 第2回

 2012年9月、中国各地で大規模な反日デモが発生したのは、まだ記憶に新しいところです。デモが起こった前日には、在上海日本国総領事館(以下、総領事館)から在華の日本人に対し、不急不要の外出は控えるようにという内容で注意喚起のメールが届きました。総領事館は、私が住んでいる上海の自宅から歩いて20分程度のところにありますが、大きな騒動が今まさに起こっているとは実感できない程に、その周辺はごく日常的な雰囲気でしかありませんでした。普段と違うことといえば、日本にいる知人から所存を心配するメールが届く程度でした。

 ところが、その数日後に日本に行く機会があり、日本のテレビでのニュース報道を見て驚かされました。そこには、総領事館の周辺に無数のデモ隊が押し寄せ、自動車がひっくり返されたり、日本料理店が破壊されたりする様子が映し出されていたのです。その内容は「中国ではとんでもないことになっている。」と、感じさせるものでした。しかしよく見てみると、実はテレビでは、そのような場面しか映していないということがわかってきます。マスコミはごく部分的にしか報道をしていないのです。そこに何か意図があるのか、あるいは、その方が視聴率が獲れるからなのかはわかりませんが、とにかくそれだけ見ていれば、「中国というのは、とんでもない国だ。」という感情になるのも無理はありません。

 それでは、本当に多くの中国人が日本に対して反感を抱いているのでしょうか。日中関係がぎくしゃくしている今こそ、そこをきちんと理解しておく必要があると思います。ちなみに私は、親中派でも嫌中派でもないつもりです。(清原学)

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