日本と中国、それぞれの報道に見る隣国関係 第3回

実は中国での反日感情より日本での嫌中感情の方が大きい!?
 先日、上海に事務所がある某日系旅行会社の総経理(社長)から連絡があり、その事務所へ伺いました。話を聴くと、反日デモ以後、日本からの旅行客が激減し、売上は事務所開設以来最悪の落ち込みとなっているとのことです。涙を呑んでリストラも止むなしという状況であり、どうやって人員整理を進めればよいか知恵を貸して欲しいとのことでした。

 日本の旅行会社の多くは、中国にも事務所を構えています。それらの日系旅行会社は、訪日する中国人旅行客を相手に商売しているのはごく僅かな部分で、収益の大半は、訪中する日本人旅行客からのものです。訪日する中国人旅行客が減っているのは、中国国家旅遊局経由で中国系旅行会社に自粛通達があるため、仕方のないことですが、訪中する日本人旅行客が8割減っているという現実は看過できないことです。

 テレビで毎日のように、あのような反日デモの映像を見せつけられてしまえば、わざわざ危険なところへ行く気にもならないのは当然と言えば当然でしょう。とは言え、今回の反日デモの一連の出来事で、多くの日本人が中国に対して悪い印象を持ってしまったことは事実です。例え今後、日中関係が改善したとしても、一旦脳裏に刷り込まれたこの感情はなかなか消せないものになるのかも知れません。(清原学)

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