日本と中国、それぞれの報道に見る隣国関係 第4回

多くの中国国民は反日運動に関心がない!?
 中国では、日本製の商品に対して不買運動が起こっていると言われます。先日、私の事務所の中国人スタッフに、「不買運動についてどう思うか。」と訊ねてみたところ、「そんなこと、できるわけがありません。身の回りから日本のものが無くなったら、生活ができません。」という答えが返ってきました。

 確かに見ていますと、反日デモを掲げて大騒ぎしているのはごく一部の中国人、それも活動家や中国政府に対する不満を何らかの形で表現したい人が相当数含まれているようです。実は、私の事務所のスタッフのように、領土のことになどあまり興味がない人の方が多いのではないだろうか、とそう思ったりします。

 事実、インターネットが発達した中国では、非常に冷静に騒動を評価している人が大変多いように思えます。「あの人たちはいったい何をしているのだ。」「あんなことをしては世界に恥をさらしている。」という書き込みは非常に多いものです。クラシカルな考えを持っている人たちの中には、いまだ反日精神旺盛な人もいるでしょうが、日本の製品や情報、文化がこれだけ浸透してしまっている中国では特に若い世代を中心に、日本贔屓(ひいき)の国民も多数存在しているということを理解しなければなりません。

 そのような人たちの多くが最近口を揃えて言う言葉に「政冷経熱」というものがあります。政治の関係は冷えているけれど、経済は盛り上がっているという意味です。日本も中国も、昨年暮れに政権が代わりました。「政冷」を放っておくことに意味は無く、日本と中国、それぞれの国の政府も地方政府の関係も仕切り直しされ、隣国の互恵関係を築いていけることを願ってやみません。(清原学)

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