上海市の最低賃金が2013年4月1日より月額1,620元に引き上げとなりました

 中国の上海市では、毎年この時期に上海市労働社会保障局より最低賃金規定に基づく通知がされることによって最低賃金の見直しが行われていますが、今年も4月1日に見直しがされ、これまでの月額1,450元から月額1,620元(約24,500円)に改定がされました。今回の最低賃金の上昇率は、前年対比11.7%の上昇となっており、前年の上昇率(13.3%)と比べると下回りましたが、月額1,600元の広東省深セン市を抜いて、中国国内で最高額となりました。なお、これに合わせて、時間給の最低賃金も、現行の12.5元から14元に12.0%引き上げとなっています。

 上海市の最低賃金の過去10年間の推移は下表のとおりですが、これをみると、金融危機の影響により前年から据え置きとなった2009年を除いて、毎年増額改定がされてきていることがわかります。この背景には中国共産党による2012年の第18回党大会において、2020年に国内総生産(GDP)と国民1人当たりの収入を2010年の2倍にするという目標を掲げていることが挙げられます。中国では目標を掲げれば、必ず実行されるため、昨年の経済成長率や消費者物価指数(CPI)の上昇率は低下してはいるものの、この方針に沿って増額改定がされたものと見られています。

 以上により、上海に進出している企業においては、今回の最低賃金引き上げを受けて、最低賃金以上の支払いがされているか確認を行うとともに、全体的なベースアップも検討しなくてはなりません。また、最低賃金は、来年以降も増額改定される可能性が高いため、今後の人件費コスト増を視野に入れた上で事業計画を立てる必要があります。(佐藤和之)

無題

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。