中国国内で死亡者が発生した鳥インフルエンザウイルスの人体感染とその予防策

 2013年3月31日、中国衛生部及び上海市衛生部は、上海市及び安徽省で「H7N9型」鳥インフルエンザウイルスの人への感染が3例確認され、そのうち2名が死亡した旨を発表しました。続いて、4月2日には、江蘇省衛生庁より、江蘇省で新たに人への感染4例が確認された旨の発表がされました。
 
 このような一連の発表を受け、中国の日本国総領事館は、鳥インフルエンザ関連情報を発信し、中国滞在者に対して注意を呼びかけています。また、日本の外務省も中国への渡航者へ注意の呼びかけを開始しています。

鳥インフルエンザウイルス感染予防策
 外務省や世界保健機関(WHO)より発表されている鳥インフルエンザウイルスに関する情報をまとめると、その感染予防策としては、次のような行動をすることが挙げられます。

○鳥との接触を避け、むやみに触らない。排泄物に触れない。
○鳥の解体や調理をしない。もしも鳥を扱った場合には必ずよく手を洗う。
○生きた鳥が売られている市場や養鶏場にむやみに近寄らない。
○鶏肉を食べる際には、十分に加熱された鳥肉、卵などを食べる。
○手洗いうがいをこまめにする。
○人ごみではマスク着用をする。

 中国に滞在あるいは渡航される方は、上記の予防策に沿った行動をしていただくことをお勧めします。また、もし発熱、咳、呼吸困難などの症状が見られ、感染が疑われる場合には、速やかに中国現地の医師の診断を受けるようにしてください。

 また、世界保健機関(WHO)中国事務所代表は、インフルエンザによる犠牲者の一人が生前に豚肉を販売していたという情報もあることから、ウイルスの感染源が豚などの動物である可能性も否定はできないと発表したと中国メディアは報じています。現時点では感染経路の特定等ができていないため、豚についても、鳥と同様に生肉には触らないなどの予防策を採ることがよいかもしれません。

 次回は、鳥インフルエンザウイルスの人体感染を受けた中国現地の駐在員管理についてお伝えする予定です。中国に関係のある企業の皆様は、各種報道と合わせ、今後の動向に注視ください。(佐藤和之)

□鳥インフルエンザ情報の参考となるホームページ
在中国日本国大使館「鳥インフルエンザ関連情報(上海市及び安徽省における人への感染について)」
http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/birdflu130401_j.htm
在中国日本国大使館「鳥インフルエンザ関連情報(第二報)(江蘇省における新たな感染例の発生及び上海市による対応強化の発表について)」
http://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/birdflu130403_j.htm
外務省海外安全ホームページ「海外渡航者のための新型インフルエンザに関するQ&A」
http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/influ_qa.html
外務省海外安全ホームページ「中国:上海、安徽省、及び江蘇省における「H7N9型」鳥インフルエンザのヒト感染例発生」
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo.asp?infocode=2013C114
世界保健機関(WHO)「Avian influenza」
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/
厚生労働省「鳥インフルエンザに関する情報」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
厚生労働省免疫所「中国でインフルエンザA(H7N9)の患者が発生しました」
http://www.forth.go.jp/topics/2013/04041038.html

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