増加する労働基準監督署による定期監督 平成24年は前年比2.0ポイント増の7,394事業所

増加する労働基準監督署による定期監督 社労士としての実務を行う中でも「最近は労働基準監督署の調査相談が多い」と感じていましたが、統計上もそれが裏付けられました。先日、愛知労働局は平成24年に管下14労働基準監督署(支署)が実施した定期監督等の実施結果を公表しました。そのポイントは以下のとおりとなっています。
□平成24年は7,394事業場を監督実施(平成23年比149件、2.0ポイントの増加)
□全業種での違反率は、71.4%であり、平成23年比3.3ポイントの増加
□重点業種のうち、製造業、運輸交通業、商業、接客娯楽業については、全産業を上回る違反率

 以下では実際にどのような違反が多いのかを見ていきましょう。違反件数が多い上位5件の件数と内容を見ていきます。
労働時間 1,965件(26.6%)
・時間外労働に関する協定届を所轄署に届出せず、労働者に法定労働時間を超えて時間外労働を行わせているもの。
・協定の届出はあるものの、協定時間を超えて時間外労働を行わせているもの。
健康診断 1,321件(17.9%)
・常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期健康診断を実施していないもの。
・有所見者についての医師の意見を求めていないもの。
安全基準 1,285 件(17.4%)
・労働者の身体の一部が挟まれたり、巻き込まれる危険がある機械の原動機、歯車、ベルト等に、覆い、囲いを設けていないもの。
割増賃金 980 件(13.3%)
・時間外労働、深夜労働等を行わせているのに、法定割増賃金(通常の賃金の2割5分以上)を支払っていないもの。
・時間外労働に対して割増賃金を全く払っていない場合や、本来計算基礎に含めなくてはならない職務手当等を算入せず、法定を下回るもの。
・労働者個人に着目せず、計算の煩雑さから、一律時間1000 円などと決めている場合で、その結果、法定割増率を下回る人がいるもの。
就業規則 924 件(12.5%)
・常時10人以上の労働者を使用しているのに、所轄署に就業規則の作成・届出がないもの。

 こうした点については多くの企業で違反が発生していますので、自社で同様の問題がないかチェックしておきたいものです。


参考リンク
愛知労働局「愛知労働局における定期監督及び申告処理状況」
http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/news_topics/houdou/2013/06240_001.html

(大津章敬)

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