中国労務の最新事情~現場からの定点観測~第1回

■上海市 2013年10月より社会保険料の料率を引き下げ(1)

 上海市は2013年10月1日より、従業員の社会保険料率の企業負担分を現行よりも2ポイント、従業員個人負担分を現行よりも0.5ポイント引き下げました。保険料率の調整は、5つの社会保険である「養老」「医療」「失業」「生育」「工傷」のうち工傷保険を除く4保険で実施され、リーマンショック以降続いている企業の景気低迷を補い、少しでも人件費負担の軽減を図る目的と考えられています。通常、社会保険の料率・保険料は毎年4月に改正されるにも関わらず、この時期に保険料率の引き下げを行うということは、企業業績に対するテコ入れを実施した緊急措置と思われます。

 社会保険を個々に見ていくと、下表のとおり、養老保険の企業負担分が22%から21%へ1ポイント引き下げ、医療保険の企業負担分が12%から11%へ1ポイント引き下げ、失業保険の企業負担分が1.7%から1.5%へ0.2ポイント引き下げ、生育保険の企業負担分は0.8%から1%へ0.2%引き上げとなっています。一方で従業員の負担分については、失業保険が0.5ポイント引き下げとなっています。また上海市は、社会保険料率の引き下げを行っても、従業員が享受できる保険料そのものには影響を与えないと発表しています。(清原学)

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           ~第2回に続く~

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