海外派遣者の労災特別加入~国内労災との違いとは(1)~
労災保険とは、労働者災害補償保険法に基づく制度で、業務上災害または通勤災害により、労働者が負傷した場合、疾病にかかった場合、障害が残った場合、死亡した場合等について、被災労働者またはその遺族に対し所定の保険給付を行う制度です。
労災保険は、基本的に日本国内での制度であるため、海外法人への出向者は保険の対象となりませんが、実質的な雇用関係からすれば、海外法人への出向者に対しても国内勤務者と同様に保障をすることが望ましいといえるため、労災保険に特別に加入できる制度(海外派遣者の特別加入制度)が設けられています。
この海外派遣者については、通常の国内勤務者の場合と取扱いが異なる部分がありますので、今回から3回にわたって紹介していきます。
【第1回:費用の立替払い】
日本国内であれば、労災指定病院で受診を行うことで、「療養の給付(治療等の現物給付)」が受けられます。それに対して、海外で治療を受けた場合には、もちろん労災指定病院がありませんので、一旦、本人で療養費用を全額立て替えて支払う必要があります。
保険給付の請求は、帰国後、出向元を通じて、海外出向先の事業主の証明書を添付し申請をすることとなります。これにより、「療養の費用(治療等の費用の支給)」の支給が本人の指定する本人名義の口座(通常は日本国内の口座。日本国内に口座が無ければ海外送金も可能。)へ振り込まれます。なお、申請に必要となる書類が外国語で書かれている場合には、日本語に翻訳したものの添付が必要となります。
~第2回につづく~
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