【集中連載】鳥インフルエンザ~SARSの教訓から拡大する鳥インフルエンザに備える①~

 中国では1月31日から春節を迎え、今年も賑やかな中国の風物詩を目にすることができます。春節は中国の正月にあたりますので、一年のうちでもっとも大切な行事。地方から沿岸部の都市に働きに来ている人たちは、故郷の両親や旧友と会える数少ない機会でもあります。

 ところが今年は鳥インフルエンザ感染による拡大被害が広がっており、春節期間中の人の移動によってインフルエンザウイルスまでもが持ち運ばれ、感染者を更に増やしてしまうのではないかとの懸念も起こっています。今のところ人から人への感染は事症として認められてはいませんが、北京にあるWHOの支部は人・人の感染を否定しておらず、いつウイルスが変異してしまうのか、注意が欠かせない状況ではあります。私がいる上海では日々、日本国総領事館からの注意喚起メールによって感染者の状況が公然とされているわけですが、今年の冬はその感染スピードが例年よりも早く、総領事館からのメールもほぼ毎日更新されて私たち邦人の手元に届けられます。しかし案外、駐在員の意識はそれほど緊迫したものではなく、日本人たちが過ごす様態は日常と変わらない風景でもあります。とはいえ決して忘れてはならないのは、遠くない過去に中国でも、そして私たち日本人も2009年の新型インフルエンザや、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)など、非常に緊張した世界的・地域的パンデミックを経験しているということです。~次回につづく~(清原学)

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