【海外勤務者の労務管理②】海外勤務者のメンタルヘルス対策(1)

 海外勤務者の労務管理につきまして、今回は海外勤務者のメンタルヘルス対策について取り上げます。

 【質問】
 当社の海外勤務者が、最近無断欠勤を続けていると連絡がありました。現地に確認したところ、少し前からメンタルヘルス不全を疑わせる行動があったといいます。当社としては、日本へ一時帰国させようと考えていますが、どのような点に注意すればよいでしょうか。

 【回答】
 海外勤務者のメンタルヘルス不全が疑われる場合は、産業医に相談し、帰国するか否かについても、産業医の判断に基づいて決定することが重要です。

 まずは、現地でトラブルに巻き込まれていないか、時間外労働や休日労働が過剰な状態になっていないかなどの情報収集を行い、そのうえで必要があると認められる場合には、現地の医療機関の受診を促します。その際に、診断書や処方された薬剤についても情報を提供してもらうとよいでしょう。特に薬剤については、日本への持込みが禁止されているものもありますので、特に注意が必要です。

 日本本社においては、現地で何かあっては困ると、すぐに帰国を命じたくなるところですが、それはかえって危険です。帰国命令によって本人が自虐的になり、現地の空港まで行く途中で自殺を図るといったケースもあります。帰国については会社だけで判断することなく、産業医に相談し、その判断を基に実施するようにしましょう。

 ~次回につづく~(佐藤浩子)

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