公務員に導入が始まった配偶者の海外赴任に同行する際に休業できる「配偶者同行休業制度」

 海外赴任者の増加に伴い、海外赴任者に帯同する家族も増えてきています。共働きの家庭で配偶者が海外赴任をすることとなれば、夫婦別居生活となるか、配偶者について行くかという選択を迫られることとなり、後者を選ぶ場合には仕事を辞めざるをえなくなってしまいます。

 そこで、配偶者の海外赴任による離職を防ぐため、公務員においては、そのような際に3年を超えない範囲内で無給の休業をすることができる「配偶者同行休業制度」が創設されました。

 国家公務員については、2013年11月22日に「国家公務員の配偶者同行休業に関する法律」が制定・公布され、2014年2月21日に施行されています。また地方公務員についても、配偶者同行休職制度の創設を盛り込んだ「地方公務員法の一部を改正する法律」が同様に施行されたことを受け、全国の各市町村において徐々に導入が始まってきており、東京の中央区や新宿区などではこの7月1日に条例を施行し導入を開始しています。

 公務員にこのような制度が導入された背景には、2013年6月14日に閣議決定された日本再興戦略の中で、「女性の採用・登用の促進や、男女の仕事と子育て等の両立支援について、まずは公務員から率先して取り組む」こととされたことがあります。その具体策の一つとして「配偶者の転勤に伴う離職への対応」が掲げられ、同制度が創設されたわけです。

 他方、民間企業においてはどうかというと、同制度を導入しているのは一部の大手企業ぐらいでしかありません。今後は、公務員での制度導入によって、大手企業などが追随した動きをする可能性は考えられます。中長期的な人材確保という視点に立った優秀人材の流出対策として、このような制度を参考にされてもよいかもしれません。(佐藤和之)

<参考リンク>
「国家公務員の配偶者同行休業に関する法律」
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H25/H25HO078.html
「人事院規則二六―〇(職員の配偶者同行休業)」
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H26/H26F22026000.html
「配偶者同行休業の運用について」
http://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/26_haiguusyadoukoukyuugyou/2601000_H26shokushoku40.htm

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