落とし穴が多い!海外赴任者の労災保険特別加入手続(2)

 前回は、労災保険の海外赴任者の特別加入について、加入をする際の注意点をお話しました。今回は帰任や退職によって脱退をする際の注意点をお話します。

 海外から帰任をしたり、会社自体を退職することによって、特別加入の補償が必要なくなった際には、脱退の手続が必要となります。具体的には、加入時と同様に「特別加入に関する変更届」を労働局へ提出することによって行います。この脱退手続をする際にも、加入時と同様に提出時期に注意が必要となります。

1.保険料は月ごとで、日割りはない。
 前提として、理解しおいていただきたいのは、特別加入の保険料は月ごとの保険料であり、月の途中で脱退する場合であっても日割りの概念はないということです。つまり、月末に脱退する場合も月初に脱退する場合も1か月分の保険料がかかります。

2.脱退は労働局の承認日以後しかできない。
 保険料は、脱退日(異動日)である帰国又は退職日まで計算され、徴収がされることになります。ところが、この脱退日については、労働局の承認日以後の日でなければならないとされており、帰国又は退職日どおりに脱退をしようとするのであれば、帰国または退職日前に事前の届出を行っておくことが必要となるわけです。

 帰国又は退職日以後に遅れて届出を行うと、承認日が遅くなってしまい、その分脱退日も後ろにずれてきてしまいます。脱退日が月をまたいでしまうと、新たにその月の保険料がまるまる1か月分発生してしまいますので、余分な保険料支払いが発生してしまいます。

 社会保険等の手続の多くは、基本的に手続を要する事由が発生した後に手続を行うものばかりですから、事前の手続が原則であるというこの労災保険の特別加入の手続は誤りが起こりやすいものといえます。手続担当の方は十分に注意をしてください。(佐藤和之)

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