海外邦人援護件数から読み取れる海外滞在時の注意点

無題 外務省は毎年、世界各地にある日本大使館などの在外公館から報告のあった海外での邦人援護事案の取りまとめを行い、その統計資料を発表しています。現時点では、昨年末(2015年末)に発表された2014年度の統計結果が最新のものとなっていますが、この統計結果を見ると、実際に頻出している事案の傾向がわかります。中でも、邦人が海外で巻き込まれたトラブル事案から、海外滞在時に気をつけるべき点を考える上で、参考になりそうなものとしては、以下の点が挙げられるでしょう。

(1)『事故・災害』(194件)のうち、約6割を占めるのは「交通機関事故」(116件)である。次いで多いのは「レジャー・スポーツ事故」(43件)。
(2)『犯罪被害』(5,040件)のうち、その8割以上と大多数を占めているのが「窃盗被害」(4,140件)である。次いで「詐欺被害」(429件)、「強盗被害」(227件)が多い。
(3)『死亡者数』は522人であり、そのうち「疾病等による死亡」(405人)が約8割を占めているが、第2位は「自殺による死亡」(47人)と約1割を占めている。

 特に、死亡原因の約1割が「自殺」であるということは、その大半は海外赴任者であることが推測されますので、海外赴任者を有する日本企業としても看過できないものであります。海外赴任者については、日本国内勤務時よりも過重なストレスがかかることが多いものですから、国内勤務時以上のメンタルヘルス対策を採る必要があるとも考えられます。ところが、中小企業においては、海外赴任者のメンタルヘルス対策が何もされていないという場合も少なくありませんので、まずは対策検討の第一歩を踏み出されることをお勧めします。(佐藤和之)

<参考リンク>
外務省 海外安全ホームページ「海外邦人援護統計」
http://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/support.html

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