外国人技能実習制度の適正化に向け、「技能実習法」が成立・公布されました
外国人技能実習制度は、開発途上国等の外国人を日本企業で受け入れ、日本の技術等を自国に持ち帰って活かしてもらおうという国際貢献を目的とした制度です。しかしながら、実習実施機関(受け入れ企業)に対する監督指導の件数は、直近2年で倍増し、2015年度は5,173件となっているように、一部の受け入れ企業においては、技能実習生を”安価な労働力”と捉え、違法な長時間労働や最低賃金未満での給与支払い、残業代の未払いなどを起こしている実態があります。
この問題の適正化に向けて、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下、技能実習法)」が2016年11月18日に成立し、同28日に公布されました。本施行は、公布日から1年以内の日となっているため、まだ少し先ではありますが、現段階で決定している新制度の概要は以下のとおりです。
<技能実習法の概要(主要点を抜粋)>
(1)技能実習制度の適正化
・技能実習計画を認定制とする。
・実習実施者を届出制とする。
・管理団体を許可制とする。
・技能実習生に対する人権侵害行為等について、禁止規定及び罰則を設ける。
・地域協議会を設置する。
・外国人技能実習機構を認可法人として新設する。
(2)技能実習制度の拡充
・優良な実習実施者・監理団体に限定して,第3号技能実習生の受入れ(4~5年目の技能実習の実施)を可能とする。
※詳細については、参考リンクをご覧ください。
外国人技能実習機構が設立されることをはじめとし、今後はより一層、管理の強化が図られます。また、これまで3年に限られていた同一技能実習生の受入れが4~5年目も行うことができるという新たな活用法の選択肢が広がりますので、技能実習生を受け入れている企業やこれから受け入れを考えている企業におかれましては、今後の法施行の動向を注視されておくべきでしょう。(佐藤和之)
<参考リンク>
法務省「技能実習法による新しい技能実習制度について」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00014.html
厚生労働省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142615.html
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