解雇理由証明書

解雇理由証明書 2004年の労働基準法改正(労働基準法第22条第2項)で創設された制度で、解雇予告した従業員から、退職日までの間に解雇の理由について証明書を請求された場合に使用する「解雇理由証明書」の書式。この証明書では、解雇の理由を具体的に示す必要があり、就業規則の該当条項の内容、その事実関係を記入することが求められています。
□重要度:★★★
□官公庁への届出:不要
□法定保存期間:3年間

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[ワンポイントアドバイス]
 会社は、解雇予告した従業員から、解雇予告日から退職日までの間に解雇の理由について証明書を請求された場合は、遅滞なくこの証明書を交付する義務があります。ただし、退職の日以後においては、この書式ではなく「退職証明書」を交付することになります。

 解雇理由に関するトラブルが多いため、どのような理由によって解雇するのかについて、書面で交付するという制度になりますが、解雇理由については、具体的に記載することが求められます。ただし、解雇された従業員が、解雇の事実のみについて会社に証明書を請求した場合は、解雇の理由を証明書に記載してはならず、解雇の事実のみを証明書に記載することになります。実際にあるケースとして、会社が従業員に口頭で告げた解雇事由と証明書に記載された解雇事由が異なっていた場合で、証明書が虚偽の報告であれば労働基準法第22条第1項の義務を果たしたことにはなりません。

[根拠条文]
労働基準法第22条(退職時等の証明)
 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 労働者が、第20条第1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
3 前3項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第1項及び第2項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。

[関連通達]
平成11年1月29日 基発第45号
 解雇の理由については、具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当することを理由として解雇した場合には、就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならないこと。なお、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合、使用者は法第22条第2項の規定により、解雇の理由を証明書に記載してはならず、解雇の事実のみを証明書に記載する義務があること。

平成11年3月31日 基発第169号
 退職時の証明は、労働者が請求した事項についての事実を記載した証明書を遅滞なく交付してはじめて法第22条第1項の義務を履行したものと認められる。また、労働者と使用者との間で退職の事由について見解の相違がある場合、使用者が自らの見解を証明書に記載し労働者の請求に対し遅滞なく交付すれば、基本的には法22条第1項違反とはならないものであるが、それが虚偽であった場合(使用者がいったん労働者に示した事由と異なる場合等)には、前記と同様法22条第1項の義務を果たしたことにはならないものと解する。

(福間みゆき)

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