就業規則(変更)届

就業規則(変更)届 就業規則を作成または変更した際に、それらに添付して労働基準監督署に提出する書類。定型の申請書様式は決まっていませんが、事業所の名称、事業所の所在地、使用者氏名等を記載する必要があります。
重要度:★★★★
官公庁への届出:必要(所轄労働基準監督署へ作成(変更)後遅滞なく)
法定保存期間:定めなし(受領印のある規程は基本的に会社が存続する限り、保存が望ましい)

[ダウンロード]
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[ワンポイントアドバイス]
 常時10人以上の従業員がいる会社(事業場)は必ず就業規則を作成しなければならず、これに違反すると30万円以下の罰金となります。常時10人以上とは、時として10人未満になることがあっても、通常は10人以上であるという意味となりますが、この人数にはアルバイトやパートタイマー等が含まれていますので、注意が必要です。

 就業規則の作成または届出は、事業場を単位としていますので、同じ企業内であっても、各企業の工場や営業所等のいわゆる「事業場」でそれぞれが常時10人以上であれば、事業場ごとに就業規則を作成・届出をすることになります。事業場の従業員数が常態として10人未満である場合には、労働基準法上は就業規則を作成しなくても差し支えないとされていますが、労働条件や会社で守るべき規律などをめぐる会社と従業員との間の争いごとを未然に防ぐには、就業規則を作成しておいた方が好ましいでしょう。就業規則の変更の内容によっては「労働条件の不利益変更」という問題が生じ、訴訟となることがあります。この場合には変更の変更には合理性が必要とされ変更の理由、従業員との十分な話し合い、変更緩和措置や代替案等の有無が「合理性の総合判断」の材料とされることになります。

 届出にあたっては、就業規則を2部作成し、1部は事業場控えとして労働基準監督署の届出済印を受けて返してもらい保存しておくと良いでしょう。

[根拠条文]
労働基準法第89条(作成及び届出の義務)
 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について、就業規則を作成し、これを遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。これを変更した場合も、同様である。

労働基準法第120条
 次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
1.第14条、第15条第1項若しくは第3項、第18条第7項、第22条第1項から第3項まで、第23条から第27条まで、第32条の2第2項(第32条の4第4項及び第32条の5第3項において準用する場合を含む。)、第32条の5第2項、第33条第1項ただし書、第38条の2第3項(第38条の3第2項において準用する場合を含む。)、第57条から第59条まで、第64条、第68条、第89条、第90条第1項、第91条、第95条第1項若しくは第2項、第96条の2第1項、第105条(第100条第3項において準用する場合を含む。)又は第106条から第109条までの規定に違反した者

[参考判例]
秋北バス事件 昭和43年12月25日 最高裁(大)判
 労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるにいたっている(民92)といえる。当該事業場の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受けるものというべきである。

アーク証券〔本訴〕事件 平成12年1月31日 東京地裁判決
就業規則の変更により、降格または減給を基礎づける変動賃金制(能力評価制)を導入した措置および諸手当を減額した措置について、給与削減の必要性は認められるが、代償措置その他関連する労働条件の改善がされていないこと、適切な経過措置が採られていないこと、労使間の利益調整がされた結果としての合理的な内容と認められないこと、変更について高度の必要性が認められないことから、その合理性が否定された。

(福間みゆき)

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