2017年8月から老齢年金の受給資格期間が10年に短縮されたことにより、外国人の年金受給の可能性が高まります
日本の年金制度において、老齢年金を受け取るためには、資格期間(保険料を納付した期間と免除を受けた期間の合算期間)が原則として25年以上必要でした。そのため、日本に短期で来日する外国人にとっては、25年という期間は途方もない数字であり、日本で年金の受給権が発生することは稀なことであり、その保険料は掛け捨てに近いものとなってしまっています。完全な掛け捨てとなってしまうことを防ぐために、「脱退一時金制度」という制度が設けられており、短期間で日本を後にした場合は、手続きをすることで、納付した保険料の一部の返金を受けることができるようにはなっています(詳しくは、参考リンクをご参照ください)。
2017年8月1日から、この資格期間の要件が25年から10年に大幅に短縮され、10年以上の資格期間があれば老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取ることができるようになりました。
これにより、外国人については、以下のような事案が生じる可能性があります。
<想定される事案>
・10年であれば、すでに受給権が発生している
・あと数年間、日本にいれば受給権が発生するので、もう少し日本勤務を継続したい
・もう少しで受給権が発生し、将来日本に戻ってくる可能性があるので、脱退一時金の請求を見送る(脱退一時
金の請求を行った期間は資格期間の対象から除外されるため) 等
外国人を雇用されている企業においては、このような事案が発生する可能性があることを理解した上で、対象となりそうな外国人従業員にアナウンスをするなどをされておくとよいでしょう。
<参考リンク>
日本年金機構「必要な資格期間が25年から10年に短縮されました」
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2017/20170801.html
日本年金機構「短期在留外国人の脱退一時金」
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html