専門業務型裁量労働制に関する協定書
専門業務型裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令および厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。一般的には研究開発職やデザイナー、システムコンサルタントなどに多く採用される制度ですが、これを導入するには、社員の過半数で組織する労働組合または社員の過半数を代表する者との書面による協定を締結しなければなりません。
重要度 ★★
官公庁への届出 必要(提出先:所轄労働基準監督署)
法定保存期間 特になし(協定期間内)
[ダウンロード]
Word形式 shoshiki060.docx(31KB)
PDF形式 shoshiki060.pdf(4KB)
[ワンポイントアドバイス]
制度の導入に当たっては、原則として次の事項を労使協定により定めた上で、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
制度の対象とする業務
対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
労働時間としてみなす時間
対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
協定の有効期間(※3年以内とすることが望ましい。)
及びに関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること
なお、この制度の導入ができるのは、限定列挙された19業務に限られます。この業務の内容については以下の関連リンク]をご参照いただきたいと思います。
[根拠条文]
労働基準法 第38条の3
使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、労働者を第1号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第2号に掲げる時間労働したものとみなす。
1.業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この条において「対象業務」という。)
2.対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
3.対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
4.対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
5.対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
6.前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2 前条第3項の規定は、前項の協定について準用する。
[関連通達]
平成15年10月22日 基発1022001号
労使協定の有効期間については、不適切に制度が運用されることを防ぐため、3年以内とすることが望ましいものであること。
[関連判例]
平成12年10月13日 最高裁二小判決 システム・コンサルタント事件
コンピューターソフトウエア会社でシステムエンジニアとしてコンピューターのシステム開発に従事していた従業員の脳幹部出血による死亡につき、業務と脳出血発症との間に相当因果関係を認め、会社に安全配慮義務違反があったとして原告の損害賠償請求を認めた原審判決に対する被告会社の上告が棄却され、被上告人の附帯上告が却下された例
[関連リンク]
厚生労働省「専門業務型裁量労働制」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/index.html
(福間みゆき)
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