出向規程

出向規程 これは在籍出向に関するサンプル規程です。出向については通常、就業規則本則の配置転換・異動などの箇所に軽く規定する例が多いでしょうが、出向が頻繁にある場合にはこのような出向規程を作成し、出向の諸条件をしっかり定めておくことが望まれます。
□重要度:★★

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WORD
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[ワンポイントアドバイス]
 出向は民法第625条第1項に基づく雇用契約の譲渡となるため、本人の同意が必要とされています。しかし転籍とは異なり、個別の同意ではなく、事前に包括的に同意を得ることでも良いとされています。よって出向をさせる場合には、労働協約や就業規則において出向をさせることがある旨の規定を置き、また採用時に出向について説明し承諾を得てくることが必要になります。

 なお出向については労務面だけではなく、その給与に関して税務面の問題が存在します。この点については参考リンクにあるタックスアンサーの記事を参考にしてください。

[根拠条文]
民法第625条第1項(使用者の権利の譲渡の制限等)
 使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。

[関連判例]
新日本製鐵(日鐵運輸第二)事件 最高裁平成12年11月28日判決
 出向(在籍出向)につき、民法625条1項の「承諾」は個別・具体的な承諾のほかに、包括的な事前の承諾をも含み、かつそれと同視しうる場合も含むとして、就業規則の社外勤務規定および社外勤務協定が、個別の同意に代わりうる、本件出向命令の根拠たりうるとされた例

ゴールド・マリタイム事件 最高裁平成4年1月24日判決
 改正就業規則において新たに出向に関する規定をもうけたことは、従業員にとって労働条件の不利益な変更にあたるというべきであるとしても、右規定は、労働組合との協議を経て締結された本件労働協約に基づくものであるのみならず、その内容において、出向先を限定し、出向社員の身分、待遇等を明確に定め、これを保証しているなど合理的なものであって、関連企業との提携の強化をはかる必要が増大したことなど控訴人の経営をめぐる諸般の事情を総合すれば、出向に関する改正就業規則及び出向規程の各規定はいずれも有効なものというべきであり、その運用が規定の趣旨に即した合理的なものである限り、従業員の個別の承諾がなくても、控訴人の命令によって従業員に出向義務が生じ、正当な理由がなくこれを拒否することは許されないものと解するのが相当である。


参考リンク
厚生労働省「配置転換、出向、転籍に関する学説等について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0524-2c.html
タックスアンサー「出向者に対する給与の較差補てん金の取扱い」
http://www.taxanswer.nta.go.jp/5241.htm
タックスアンサー「出向先法人が支出する給与負担金の報酬と賞与の区分」
http://www.taxanswer.nta.go.jp/5240.htm

 

(福間みゆき)

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