法定休日に8時間以上労働させた場合の割増賃金の割増率はどうなりますか?

A 法定休日において、1日8時間を超えて労働させた場合であっても割増賃金の割増率は35%以上が適用されます。

1.法定休日とは
 労働基準法第35条では、使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日又は4週を通じて4日の休日を与えなければならないとされています。この休日のことを法定休日といい、法定休日に労働させることを法定休日労働といいます。

2.割増賃金の割増率の種類
 割増賃金の対象となる労働時間には、以下の区分があります。

  1. 時間外:法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働させたとき(割増率は25%以上)※
  2. 休日:法定休日に労働させたとき(割増率は35%以上)
  3. 深夜:22時から5時までの間に労働させたとき(割増率は25%以上)

※時間外労働が1ヶ月60時間を超えたときの割増率は50%以上となります(中小企業については、2023年4月1日からの適用)。

3.法定休日と深夜労働
 法定休日に労働させた場合は、労働時間の長短に関わらず賃金の割増率は35%以上が適用されます。ただし、その時間が深夜(午後10時から翌朝5時)に及んだときには休日労働の割増率35%に加えて、深夜労働の割増率25%以上が必要となり、合計60%以上の割増が必要となります。ただし法定休日は暦日(午前0時から24時間)で考えるので、法定休日が日曜日の会社で、日曜日の午後1時から翌日午前2時まで労働させた場合は、午後1時から午後10時までは割増率35%以上、午後10時から深夜0時までは、割増率35%に加えて深夜労働の割増率25%以上の支払い義務が生じます。午前0時から午前2時までは、法定休日ではなくなるので、通常の労働時間となりますが、法定労働時間を超えているので、時間外労働の割増率25%以上に加えて、深夜労働の割増率25%以上の割増率の支払い義務が生じます。

4.休日の振替を行う場合
 事前に休日を振替え、もともと法定休日であった日に労働させた場合、その日は所定労働日という扱いになるため、35%以上の割増賃金の支払いは必要ありません。ただし、その日に法定労働時間を超えて労働させた場合は、その超えた時間に対し、25%以上の割増賃金を支払う必要がありますので注意しましょう。

(関野 真美)