育児休業から復帰した社員に年次有給休暇を付与する必要はあるのでしょうか?

A 育児休業から復帰した社員にも原則年次有給休暇を付与する必要があります。

1.年次有給休暇の付与要件
 労働基準法第39条1項では、使用者はその雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して年次有給休暇を与えなければならないとされています。また、労働基準法第39条10項では、以下の3つの休業は、年次有給休暇算定での出勤率の算定においては出勤したものとして取り扱うとされています。

  1. 業務上の負傷・疾病にかかり療養のため休業した日
  2. 労働基準法第65条に基づき、産前産後休業を取得した日
  3. 育児・介護休業法に基づき育児休業又は介護休業を取得した日

 このように育児休業期間中は出勤したものとして取り扱うため、他に長期の欠勤等がなければ、通常は年次有給休暇付与要件である出勤率が8割を満たすこととなり、年次有給休暇が付与されることとなります。ただし、育児休業期間中は労働を免除されている日であり、年次有給休暇は取得できませんので、年次有給休暇の権利を実際に行使できるのは、職場復帰した後となります。

2.出勤率の算定方法
 出勤率の計算方法は、「出勤日÷全労働日=出勤率」となります。出勤日とは、年次有給休暇の付与日前の1年間の間(初回は雇入れ日から6ヶ月間)で実際に労働した日と、上記1.で挙げた出勤したものとして取り扱う休業の日のことをいい、全労働日とは、所定労働日のことをいいます。なお、年次有給休暇を取得した日や遅刻早退をした日も出勤日としてカウントします。ちなみに、以下の4つは全労働日から除外されますので計算をする際に注意しましょう。

  1. 使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
  2. 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
  3. 休日労働させた日
  4. 法定外の休日等で就業規則等で休日とされる日であって労働させた日

(関野真美)