残業開始時刻前に休憩を取らせたいのですが

 新型コロナウイルス感染症の第3波がやってきており、GoToの見直しなどが議論されている。これから冬にかけて、欧米のような状況にならないことを祈っている大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。
服部社長
 大熊さん、おはようございます。最近は朝晩中心に寒くなりましたね。
大熊社労士
 そうですね。朝、布団から出るのがつらい時季になってきました。それにしても新型コロナの感染は心配ですね。最近は私のお客様でも感染者が出て大変だったというような話を耳にしています。
宮田部長宮田部長
 そうですか!当社はまだ大丈夫ですが、濃厚接触者の濃厚接触者が発生して、どこまで対応したらよいのか社内で議論したところではありました。結局、出社制限までは行わなかったですけれども。
大熊社労士
 そういう話は本当によく耳にするようになっていますね。新型コロナが身近にまで迫ってきている気がします。さてさて、今日は宮田部長からご相談があるとお伺いしていますが。
宮田部長
 はい、休憩時間に関する相談があります。当社は始業が午前9時、途中で正午から1時間の休憩時間を挟んで、午後6時終業の1日8時間勤務なのですが、終業時刻である午後6時から15分間の休憩を設けられないかと考えています。
大熊社労士
 そうなのですね。それはまたなぜですか?
宮田部長
 目的は2つあります。1つはここで休憩を入れることで、集中して定時内で仕事を終えて欲しいということ。一部の社員が習慣的に30分くらいの残業を行っているようですので、それを改善したいと思っています。そして、2つ目がどうしても残業が必要な場合には少し休憩を取ることによって、リフレッシュした上で再び集中して仕事を進め、長時間残業にならないようにして欲しいということです。
大熊社労士大熊社労士
 なるほど。非常によい狙いですね。でも、法律的には少し問題があります。というのは、休憩時間は労働時間の途中で与えなければならないとされているからです。今回は終業時刻後ですので、この点で休憩時間とは認められません。ちなみに、お昼の休憩が45分だとすれば、8時間を超えて労働させる場合にはもう15分休憩させる必要がありますので、ここで15分の休憩を入れるという理由にはなるかも知れませんが、その場合、例えば始業時刻前に1時間勤務し、定時である午後6時に退社するとすると、労働時間は8時間を超えているので、15分の休憩が不足するということになってしまいます。
福島照美福島さん
 なるほど、お昼の休憩時間を短くするという案は私も考えていたのですが、確かにそのようなケースでは、不足分の15分をどこで取らせるのかという問題が出てしまいますね。
大熊社労士
 そうですね。また現実的にそんな時間に休憩を設定しても、誰もそんな休憩は取りませんよね。だって、早く帰りたいですから、休憩を取得せずに仕事をする社員が続出し、また別の問題に繋がると思います。更には、御社ではそういう話ではありませんが、残業代の支払いを減らそうとしていると見られることも多いと思います。
服部社長服部社長
 そういう見方はされるかも知れませんね。当社ではそんな意味は一切ありませんが。
大熊社労士
 ということを総合的に考えると、今回の案は慎重に考えるべきかなと思います。
宮田部長
 分かりました。とは言え、定時までに集中して業務を進め、残業をできるだけなくしていくことは継続的な課題としたいと思っていますので、また議論させてください。
大熊社労士
 分かりました。ぜひ!

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は久し振りに非常に基本的なテーマを取り上げてみました。休憩時間というテーマはあまり語られませんが、実務上は結構問題になることがあるダークホース的存在です。戦略的に休憩を活用すれば、生産性向上にも繋がりますので、休憩時間の有効活用については社内でいろいろと議論されると良いと思います。

[関連法令]
労働基準法34条(休憩)
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
2 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
3 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

昭22・11・27基発第401号、昭26・10・23基収第5058号
 法第34条における労働時間は実労働時間の意であり、これが1日8時間を超える場合には、所定労働時間の途中に与えられる休憩時間を含め少なくとも1時間の休憩時間が与えられなければならないものであること

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2019年11月5日「午後3時から休憩時間を設けたいのですが?」
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(大津章敬)