午後3時から休憩時間を設けたいのですが?
ラグビーワールドカップロスになっている大熊であった。
大熊社労士
おはようございます。
服部社長
大熊さん、おはようございます。ラグビーワールドカップも終わってしまいましたね。大熊さん、ラグビー好きだからロスになっているのではないですか?
大熊社労士
そうなんですよ。いつかワールドカップを生観戦するというのは学生時代からの夢でしたから、それが叶って本当に良かったですし、また日本国民がこんなに盛り上がったというのは更に良かったです。
福島さん
そうですよね。私も全然ラグビーを見たことはなかったのですけど、今回ですっかりにわかファンになってしまいました。チームで一丸となって勝利を目指すというのが本当に胸に突き刺さった感じです。
大熊社労士
そうですね。サッカーと比較してもチームプレイという要素が強いので、日本人のメンタリティに合っていると私も改めて気づかされました。既に大学ラグビーは再開していますし、年明けに始まるトップリーグには世界のトップ選手も多く出場しますので、是非スタジアムにも出掛けてみてくださいね。
福島さん
はい!大熊先生、またルールを教えてくださいね。
大熊社労士
もちろん!さてさて、今日はなにかありましたでしょうか?
宮田部長
はい、実は休憩時間の見直しを行おうと考えていまして、相談に乗っていただければと思っています。
大熊社労士
休憩時間ですか?それはまたどうしてですか?
宮田部長
当社の始業時刻は午前9時、正午から午後1時までの1時間が休憩で、午後6時終業の8時間労働となっています。午後の勤務は午後1時から午後6時まで5時間も連続することから、現実的に集中力を保つのが難しいと思うのです。だから途中で休憩時間を設けたらどうかなと考えていまして。
大熊社労士
なるほど。午後の勤務で現実的に問題などが起きているのですか?
宮田部長
はい、以前から午後は午前よりもミスが多いなと感じていたのですが、先日も工場の方で労災が発生したのですが、それもやはり集中力の低下が原因かなと思われるようなものだったのです。確かに5時間も集中して仕事をするというのは難しいかなと思っています。
大熊社労士
そうですね。私もそう思います。本当に集中力が続くのは90分~120分くらいが限界だと思うんですよね。ましてや5時間なんて、普通は無理です。みんな、適当に休憩しながら仕事をしているのではないかと思いますが、製造現場はなかなか柔軟に対応できないこともあるので、休憩をルール化するのは有効だと思います。
福島さん
具体的には午後3時から15分間の休憩を設けようと思っているのですが、その分、単純に終業時刻を午後6時15分に延ばすと、保育園に子どもを預けている一部の社員に問題が出るのでどうしたらよいか迷っています。
大熊社労士
なるほど。確かにそうですよね。方法はいくつかあると思いますが、一番簡単なのはお昼休憩の時間で調整することですよね。例えばお昼休憩の時間を15分短くして正午から45分間にすることで、始業・終業時刻はそのままということが可能になります。
福島さん
それって、ありなのですか?
大熊社労士
はい、全然ありです。休憩時間は労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分を与えなければならないとされていますが、それは1回で与えなければならないというものではありません。もっとも10分休憩を6回与えるというようなものは昼食を取ることもできず、休憩の趣旨に合わないので問題ですが、今回のように45分+15分というのは問題ありませんし、世間でもよくあるパターンです。
福島さん
そうなのですね。であれば、問題なさそうですよね、宮田部長?
宮田部長
そうだね。当社の場合、お昼ご飯はみんな食堂でお弁当を食べているから、お昼休憩も45分あれば十分だと思う。もし少し短いという意見があれば50分+10分などの組み合わせもあるかも知れないね。
大熊社労士
そうですね。あとは趣旨を従業員のみなさんに説明し、話し合って決めていけばよいのではないでしょうか?目的は働きやすい環境を作ることにある訳ですから、是非、従業員のみなさんの意見を聞いてあげてください。
宮田部長
分かりました。社長、そんな形で進めてもよろしいでしょうか?
服部社長
もちろん。早速進めてください。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今回は休憩時間の見直しについて取り上げました。働き方改革が進められていますが、そのポイントは生産性の向上にあります。生産性高く、効果的な仕事を進めるためには、心身の疲れを適度に解消しながら、集中力を保つことが重要になります。そもそも学校の授業の時間数を見ても、小学校が45分、中学校と高校が50分、大学が90分とされていることが通常です。これは集中力が続く時間がベースとなって決められています。大人であっても集中が持続するのはせいぜい2時間が限界でしょう。本当に集中したときにはもう少し長い時間、集中が持続することもありますが、その場合にはかなりの疲労をしているはずです。こうしたことを前提とすれば、午後の時間に短い休憩を設けることは非常に有効です。よりよい仕事をするという視点で、働く環境の整備を進めていくことが重要な時代となっています。
(大津章敬)